■ 採血における手袋の消毒法について | |
【質問】
病院の採血室に勤務している臨床検査技師です。いつも拝見しており, また, 幸運にも何度か回答して頂き, 日々の業務で大いに役に立っております。 当院でも技師が採血時に手袋を使用して採血することがだんだん普及してきています。採血のシフトについている時間は, 採血管の準備などは行わず, 採血行為のみに専念しています。その際, 患者さん毎に手袋を交換して業務を続けることは時間的ロスやコストの点から取り組みにくく, 代わりに消毒用エタノールに塩化ベンザルコニウムやクロルヘキシジンなどが含有された擦り込み式の速乾性手指消毒液を使用しています。使用中にできるピンホールも考慮し, 一定時間毎の手袋交換を行っておりますが, この方法で何か問題はないかお教えください。 【回答】
私の検査室では現在, 一人一人の患者さん毎に手袋を交換しています[http://www.hosp.u-ryukyu.ac.jp/labo/koe/glove.html]。採血の際, 手袋を装着するのは, 採血を担当する医療側のスタッフを守るためです。手洗いもしないで, 同じ手袋を延々と装着している施設もあります (手袋のなかは汗で一杯)。患者の側からすると, どれ程の期間, 同じ手袋が装着されているのかさえ分かりません。手袋の外 (患者側) と内 (医療側) は, 相互に隔絶されたまったく違う世界なのです。質問者も述べているように, “患者さん毎に手袋を交換して業務を続けることは時間的ロスやコストの点から取り組みにくく”という事情は理解できます。でも, これって, 医療側の言い訳ですよね。時間がない, 経費がかかる・・・昨今の流行り言葉,“患者中心の医療”を実践されるのでしたら, いくら時間がかかろうと, 経費がかかろうと, 患者に必要なものは提供すべきではないでしょうか。 (琉球大学・山根 誠久)
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