06/07/25
■ 鮭・鱒イクラの細菌検査
【質問】
 こんにちわ。私は水産加工場で細菌検査を3年目の■■です。この会社に入り初めて細菌検査のやり方を学び, 日々教わりながら業務しています。質問です。鮭・鱒イクラの細菌検査を作業工程順に細菌検査を行い, 毎日の細菌数を調べているのですが:

〔検査方法〕イクラ 10 gram+減菌生理食塩水 90 ml (121℃, 15分間加熱)を入れて, ストマッカーで15秒間 (あまりかけ過ぎると泡だらけになるため)。気温10度前後の冷蔵庫で15分間程度保存して, イクラの油部分, 卵の皮などが分離するのを待つ。上の部分はオレンジが濃く, 油が浮いていて, 下の部分は透明になっており, 下の透明な部分を採取する。そして, 10倍と100倍液, 各2枚ずつに分注する。当社は, 一般生菌数は標準寒天培地 (オートクレーブ121℃, 15分間加熱) を使用。ここで質問です。

 分注したシャーレに標準寒天培地加熱後 (ウォーターバス34度) を入れる際, 10倍, 100倍のシャーレが白く濁り, 48時間, 34度インキュベータで培養後も, 白く濁った状態のままです。100倍の場合はまだ濁りは少なく, コロニーを数え易いのですが, 10倍は見え辛く数えることが困難です。色々温度や採取部分の場所などを考えたのですが, うまくいきません。イクラは油が多く, それが原因だとも思いますが, 何かいい方法などありました教えてください。

【回答】
 次のことを再確認してください。(1)「作業工程順に細菌検査を行い」とありますが, 原料から各工程中のイクラすべてで, 混釈培養時に濁るのでしょうか。もし原料では白濁せず, 加工工程で白濁するのなら原料以外の調味料 (貴社のノウハウ) が原因と考えてください。(2)「ウォーターバス34度」では“寒天が固まり始めます”。培地滅菌後の保持温度を45℃前後にしてください。(3)「48時間, 34度インキュベータで培養後も, 白く濁った状態」は, 標準寒天培地を入れた時の濁りと本当に同じですか。回答者は48時間後の濁りは菌の発育によるものと推測しますが。

「イクラ製品の衛生的取扱いについて (平成10年9月18日 衛乳第231号) の第1 イクラ製品の微生物規格目標値」によりますと,「イクラ製造施設から出荷される際の製品において、一般性菌数10^5/gram以下を製造工程における衛生的取扱いの目標値とする」と記載されています。また, 一般生菌数測定の時の菌数計算は, シャ_レ中の菌数が30_300 CFUのシャ_レを選び, それから菌数を算出することになっています。従って, 希釈段階をあと2段階増やし, 10倍, 100倍, 1000倍, 10000倍までの試料について1 mlずつ2枚のシャ_レで混釈培養してください。質問者とその施設の今までの蓄積したデ_タを解析して妥当な希釈段階を見出し, 作業を短縮する努力も必要と考えられます。

(日水製薬・小高 秀正)


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