04/08/31
■ サルモネラの増菌培養と芽胞菌の判断
【質問】
 はじめまして。私は玉子会社に努めている者です。今回は初歩的な判断基準についてお伺いしたいことがありまして, アクセスさせて頂きました。微生物に対してあまり詳しくないので, よろしくお願い致します。

(1) 液卵のサルモネラ検査の際, 増菌培養としてSBG液体培地で36℃, 24時間培養して推定試験としておりますが, 24時間後では陰性, 48時間後では陽性 (赤茶色) の検体が数件あり, 判断に困っております。初発菌数が少なければ36℃, 24時間の培養で赤茶色の陽性反応は確認できないのでしょうか??? 増菌培養液の色の変化がなくてもMLCB培地での確認までは必須でしょうか???

(2) 芽胞菌の判断として, SPC培地に硫酸マグネシウムを添加して培養すると, コロニー周辺が黒くなると聞いたのですが, 耐熱テスト以外で芽胞形成菌を判断する方法はあるのでしょうか???

【回答】
(1) 初発菌数が少なければ36℃, 24時間の培養で赤茶色の陽性反応は確認できないのでしょうか???・・・初発菌数が少ないと, 24時間では確認できないこともあります。増菌培養液の色の変化がなくてもMLCB培地での確認までは必須でしょうか??? ・・・増菌培養液の色の変化がなくてもMLCB培地などのサルモネラ用選択培地での確認は必要です。公定法を記載しますので, 参考にしてください。

 液卵のサルモネラ試験法が, 平成10年11月25日生衛発第1674号生活衛生局長通知としてあります。その方法は, 前培養として検体25 gを緩衝ペプトン水 (BPW) (L-システイン 0.2 g/LまたはFeSO4・7H2O 64 mg/L 添加培地)225 mLに混和し, 36±1℃で22±2時間培養します。その培養液0.5 mLを10 mLのTT培地か10 mLのRV培地へ接種し, 42±0.5℃, 22±2時間選択増菌培養します。その培養液から, 2種類以上 (硫化水素非産生菌を検出するため, 酵素基質含有培地を含む) の分離平板培地へ1白菌耳を画線塗沫します。36±1℃で22±2時間培養後, 定型的集落を釣菌し, 同定します。

(2) 検査する目的が, 芽胞形成食中毒菌 (Bacillus cereus, Clostridium perfringens, Clostridimu botulinum)なら, それぞれ方法が確立されています。また, 一般的な好気性芽胞形成菌に対しては, 標準寒天培地で一般生菌数を測定するとき, 検出されたコロニ_をよく観察してから釣菌し, グラム染色して顕微鏡で芽胞の有無を観察します。ほとんどの場合, 芽胞を形成する菌はグラム陽性菌です。その後は, コロニ_の形状だけで芽胞形成菌を判断できます。

(日水製薬・小高 秀正)


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