05/10/25
05/10/26
■ “Salmonella Arizonae”の血清型
【質問】
 失礼致します。私は検査センターで細菌検査をしている臨床検査技師です。今度, 検便検査を実施する予定となり, コントロールとしてサルモネラの菌株を購入致しました。購入したのは“Salmonella Arizonae”と“Salmonella Typhi”です。確認のために血清検査を実施しましたが, 腸チフスはO9群でしたがVi抗原 (−) でした。Vi (+) が典型的なチフス菌ですが, Vi抗原 (−)の菌もあると聞いておりましたので特に問題視していません。しかし, Salmonella Arizonaeの血清検査を実施しましたら, すべての抗血清で凝集がありませんでした。ご質問させていただきたいのは, Salmonella Arizonaeの血清型はどの型になるのでしょうか??? ということです。ネットも, 教科書も調べたのですが, わかりませんでした。よろしくお願い致します。

【回答】
(1) Kauffmann-Whiteの抗原構造表では, Salmonella ArizonaeはSalmonella亜種 (生物群) のIIIaおよびIIIbに分類されるものが, 俗にArizona菌群と呼ばれているようです。厳密にはIIIaはArizonae, IIIbはDiarizoaeに分類されます。

O群の種類は1〜70位までありますが, 弊社で販売しているO血清は21種類 (多価血清を含む) です。Kauffmann-Whiteの抗原構造表によると, Arizonaeは ‘IIIa’の標記でいろいろなO群にわたり存在しており, 一菌株ではありません。多菌株を括りすべて‘IIIa’ですので, 購入された‘Salmonella Arizonae’の菌株は弊社で販売しているO血清以外のO抗原を持った菌株と思われます。

(2) 弊社ではサルモネラ免疫血清としてO血清19種類, H血清39種類, 相誘導用H血清17種類を製造販売しておりますが, サルモネラのO群は前記のとおり70位あり, すべてのサルモネラを型別することが出来ません。

(3) Kauffmann-Whiteの抗原構造表はいろいろな手段で入手できます。例えば「腸内細菌 (II) 各論1 Salmonella属 坂崎 利一」(近代出版) に記載されています。

(デンカ生研・青木 智)


【質問者からのお礼】
 お忙しいところ, お返事ありがとうございました。自分の検査方法が間違っているのか不安でしたが, 血清検査試薬に含まれていないO群の可能性があるということが解かり安心しました。また何かありましたらよろしくお願い致します。


戻る