06/04/19
06/05/02
■ サルモネラの同定結果について
【質問】
 はじめて質問させていただきます。私は食品製造者などの検便検査を業務としている者です。サルモネラの同定のことでお伺いします。

 糞便から直接, 分離培地 (変法サルモネラシゲラ培地) に塗って生えた硫化水素産生のコロニーを生化学試験用培地 (TSI, SIM, シモンズクエン酸, リジン脱炭酸など) に接種し, 1日培養した後にサルモネラの性状を示した菌を血清試験するという手順で検査をしています。今回血清試験で, 熱処理前ではO13に凝集し, 生理食塩水には凝集しなかったのが, 熱処理した後では, O13と生理食塩水にも凝集がみられるという結果が出ました。これはどのように解釈したらよいのでしょうか??? サルモネラ「陰性」でいいのか, それとも「陽性」なのか判断に困っています。ちなみに, 同定キット (ID32Eアピ: 日本ビオメリュー) の結果は99.9% Salmonella sppでした。回答をよろしくおねがいします。

【回答】
 加熱した菌体が自己凝集を起こしてしまった原因は残念ながら分かりません。しかし, 同定キットの結果などから, “サルモネラは「陽性」として間違いない”と思われます。一般に, 継代培養を繰り返すなどして, “ラフ”化したものは, 加熱後に自己凝集を起こしやすい傾向がありますが, 質問の内容から, 培養後の直ぐの検査であると推測できますので, この事例には当てはまりません。また, SS培地などの選択培地に発育した菌体を直接, 型別血清に反応させた場合も, 自己凝集してしまう可能性が高いといわれています。いずれにしても, サルモネラのO群型別血清の使用において加熱処理は不要ですので, この場合, 加熱前の「O13」という結果を採用して問題はないと考えます。

(デンカ生研・星 綾香)
【質問者からのお礼】
 回答ありがとうございました。今後もお世話になるかと思いますが, よろしくおねがいします。

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