05/01/25
■ サルモネラ菌の食品 (液卵) 検査について
【質問】
 液卵工場で品質検査に携わっているものです。内容は, 細菌検査で特にサルモネラ菌の検査で悩んでおります。検査法は「公定法」で行っていますが, 私どもの製品の納品先より「サルモネラ陽性」のクレームがたびたび寄せられております。再検査を行っても「陰性」の結果が出ることが多く, 検査を行ううえで判断に迷うことが出てきました。分離培地はMLCB培地を用いています。なお性状検査は「公定法」を行っております。

(1) 同じ製品サンプルからサルモネラ「陽性」または「陰性」と結果が割れる確率はどのくらいあるのでしょうか???

(2) また, “硫化水素検出”に用いるのは, MLCB培地とDHL培地ではどちらが素人でも判断が容易なのでしょうか???

以上、2点を教えてください。

【回答】
(1)この質問は難問です。検出率の違いは, 検査方法や検査員の技術により大きく異なってきます。確認しなければならないのは, 質問者の結果が「陰性」で, 納入先の結果が「陽性」である場合, どちらの検査結果の信頼性が高いかです (偽陽性を陽性と判断している可能性も考えられます)。検査方法や検査員の技術を比較して考えてください。一口に「公定法」といっても, 具体的に採用する選択増菌培地や選択分離培地は, 個々の検査室で培地を選ぶ訳ですから, ふたつの検査室間で培地性能が違う可能性があります。サルモネラが陽性の場合, MPN法による菌数と分離されたサルモネラ菌の血清型を確認しておけば, ふたつの検査室の間でもう少し詳細に結果を確認しあうことができると思います。最後に, 1990年版の食品衛生検査指針のサルモネラ (4) に書かれている解説を引用して記載します。「食品のサルモネラ検査においては、畜産食品のみならず、多種の食品の広範な汚染が推測されるので、安易な姿勢での検査はさけるべきである。特に、寒天平板からの疑わしい集落の釣菌数を増やすなどの努力と熱意こそが、使用培地の組み合わせなどの検出率を左右する因子をしのぐ最善のものであることを強調したい」

(2) 選択性はMLCB培地よりDHL培地の方が強いです。しかし, 通常サルモネラの検査には2種類以上の選択培地を併用するのが一般的です。コロニ_の観察と判定方法を, サルモネラ検査に関して熟練した人から教えてもらうことを勧めます。素人だからといって, サルモネラ陽性検体を陰性と誤判断して出荷してしまったというのはなんの言い訳にもなりません。

(日水製薬・小高 秀正)


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