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【質問】
酸性領域下の細菌を分離するために, 寒天培地をpH 3.0〜4.0の間で調製したいのですが・・・pH
3.0〜4.0では寒天成分 (1.5%) が固まらずゲル化してしまいます。ゲル化させずに寒天を固化させる方法を御指導下さい。宜しくお願いいたします。
【回答】
果汁中の耐熱性好酸性菌 (thermophilic acidophilic bacilli: TAB) の検査法として,
希硫酸または希塩酸でpHを3.7に調整する寒天培地が推奨されています。この培地の調製は,
寒天と寒天以外の培地成分を別々に滅菌し, 滅菌後に両成分を混合して寒天培地として使用します。このように別々に滅菌して混合することで,
ゲル化させずに寒天を固化させることが可能になると思われます。なお, pH補正した寒天以外の成分と,
寒天とを別々に滅菌して混合するのは, 低いpHで加熱されると寒天が加水分解してしまうことを防ぐためです。容量については,
組成にもよりますが, 等量混合を基本に調製されることをお勧めします。
(日水製薬・三品 正俊)
【質問者からのお礼】
この度は, 酸性下の培地調整方法について回答いただきまして有り難うございました。現在,
分離 (ブロスからですが) している菌は, pH 3.0〜4.0の間でしか増殖を示しません。グラム陽性の長桿菌であるため,
乳酸菌系を推定しております。アシドフィルス菌かと思っているのですが, 単独分離が出来なかったため,
次のステップに進めず苦慮しておりました。早速, ご指導方法を実施したいと思います。お忙しい中,
御回答いただきましてありがとうございました。
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