06/07/13
■ 生理食塩水と蒸留水
【質問】
 ●●と申します。今, 栄養士の専門学校に通っています。

 「食品衛生学」の実験で標準寒天培地やDHL培地で培養土に生ごみを混ぜ, 菌を増殖させて菌数測定をしているのですが, 培地を作る際に生理食塩水を希釈液に使っているのですが, 蒸留水ではなぜいけないのでしょうか??? お教えください。宜しくお願いします。

【回答】
 生理食塩水はその生理的濃度の塩化ナトリウムにより細菌浸透圧を保護します。そのため一般細菌の菌液作成時には菌体を損傷せずに生きた状態に保つために用いられます。また菌体表面はマイナスイオンで覆われているため, 物質への吸着という現象が起こりますが, 経験的ですが, 生理食塩水を使用することにより, 吸着した菌体を遊離させ, 正しい菌数を得ることが可能になります。

 このように, 環境中の損傷菌を生きた (生のよい) 状態で回収する, 菌体を希釈液に遊離分散させて正しい菌濃度得ることができるといった理由から希釈液には生理食塩水を使っていると考えます。なお, 吸着・遊離については菌体表面の電荷と生理食塩水に含まれるナトリウム塩による電気的な中和反応と考えられます。

(日水製薬・三品 正俊)


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