05/07/06
■ 清涼飲料水の微生物検査
【質問】
 いつも「質問箱」を参考にさせていただいております。私は清涼飲料水の品質保証部の者です。清涼飲料水の殺菌工程では菌数が少ないため, 大腸菌判定のみでよいということは分かっているのですが, “一般的に飲料メーカーさんではどういった微生物試験を行っているのか”, 大変興味があります。書物での勉強やネットの情報収集では限界がありますので, 差し支えのない程度にお教え頂ければと思います。宜しく御願い申し上げます。

【回答】
 まず最初に, いろいろな学会や研究会へ積極的に参加し, 懇親会などの席で直接他のメーカーの方々と意見交換することを強く勧めます。座して待っていても情報は得られません。今の時代, 情報はそれだけで価値をもつのです。

「私は清涼飲料水の品質保証をやっているのですが, 差し支えのない程度に, 貴方のところの内容をお教えください。大変興味があります」・・・もし, 質問者がこのような質問を受けたらどのような気持ちになるでしょうか・・・単なる興味であれば, 質問者自身で調べるべきでしょう。「書物での勉強やネットの情報収集では限界があります」と書かれていますが, どの程度調べられたのでしょうか。ちなみに回答者が, 1時間程, 書物やネットで調べた内容を以下に記載します。

 まず, 食品衛生法第13条の別表第2に, 食品衛生上の危害の原因となる物質が食品の区分の清涼飲料水に記載されています (微生物のみを抜粋): エルシニア・エンテロコリチカ, 黄色ブドウ球菌, カンピロバクター・ジェジュニ, カンピロバクター・コリ, クロストリディウム属菌, サルモネラ属菌, セレウス菌, 病原大腸菌, 腐敗微生物 リステリア・モノサイトゲネス。また平成12年2月22日衛食第23号では, ミネラルウォ_タ_製造施設に対する監視指導の強化について, “レジオネラ属菌”についても自主検査をするとなっています。食品の腐敗変敗防止ハンドブック (サイエンスフォ_ラム) には, UCCテクノデベロップメント株式会社の平澤久紀氏が清涼飲料の腐敗変敗について書いています。日本清涼飲料研究会の2004年第14回研究発表会では,「飲料工場の環境微生物管理 (2)」という題で, 株式会社伊藤園品質管理部の加藤一郎氏らが報告しています。飲料関係の方々も, 日本清涼飲料研究会だけでなく, その他のいろいろな学会に参加しています。質問者も、飲料メーカーの微生物試験方法に興味がおありでしたら, 学会や研究会へ積極的に参加して意見交換をされたら良い勉強になると思います。

(日水製薬・小高 秀正)


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