06/11/13
■ セラチア (霊) 菌の赤色色素
【質問】
 こんにちは。いつもとても参考にさせていただいています。

 現在, 昆虫の腸内細菌の分離・同定を行っており, 同定キットを使って同定しています。そこで質問なのですが, 同定結果がSerratia marcescensとなったのですが, “コロニーが赤くなりません”。本当にセラチア菌か否か確認する方法があれば教えてください。また, 色素を生産しない種 (株) もいると聞いたのですが, 以前近くで飼育している昆虫から色素を生産するセラチア菌が見つかったのですが, 今回は色素非生産の菌しかみつかりませんでした。そこで質問なのですが, 色素生産と非生産の違いはなぜ起きるのか教えて下さい。よろしくお願いします。

【回答】
 Serratia marcescensの同定は, 色素産生のみに頼るのではなく, 他の生化学的性状からも判断することが必要と考えます。すなわち, グラム陰性桿菌でオキシダーゼ陰性, ブドウ糖を発酵, 乳糖非分解, シモンズのクエン酸塩利用, VP反応陽性, インドール反応陰性, ゼラチン液化試験陽性, DNase陽性などです。現在, 患者さん (ヒト) 由来の臨床材料から分離される多くのSerratia marcescensは“色素非産生株が大部分”です。色素産生を促進するためには, 培養温度や培地組成を変化させるとよいと言われていましたが, 再現性はあまりよくないようです。色素 (プロジキニン) 産生を調節している遺伝子は, pigAが知られていますので, 非産生株はこの遺伝子に何らかの変異を受けたものと考えられます。

(愛媛大学・村上 忍)


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