05/12/09
■ 真菌の液体希釈法での抗菌試験
【質問】
 初めて質問させていただきます。○×大学で実験補助をしております。

 液体希釈法での抗菌試験を初めて行うのですが, 細菌および真菌の抗菌活性を濁度により測定することを予定しております。文献を検索したのですが, 真菌での結果を見つけることが出来ませんでした。ペーパーディスク法での試験は実施しましたが, 数値でMICなどの結果の出るものがほしいので液体希釈法を実施することになりました。真菌での液体希釈試験は実施可能でしょうか。また, その試験方法はどのように行えばよろしいでしょうか。ご多忙中大変恐縮ではありますが, ご返信の程よろしくお願い致します。

【回答】
 真菌の液体希釈法は可能です。研究目的で実施されるようなので, 必ずしも臨床検査の領域で行われている方法をそのまま遵守する必要はないと思いますが, 実験条件を明確にすることです。実験条件のなかでは, 用いる液体培地の選択が特に重要で, 試験する真菌を再現性をもって発育させる能力をもち, また試験する薬剤 (抗菌物質) の薬効に極力影響しないものを吟味します。残る実験条件としては, 試験する物質の溶解性 接種する真菌の濃度, 培養条件, 菌発育終末点の定義といったものです。最終的に, いつでも, 同じ真菌 (株) で, 同じ抗菌物質を, 同じ濃度で試験したら, 同じ結果がでるという再現性を保証する必要があります。

 臨床検査の領域では, 酵母真菌とアスペルギルスなどのfilamentous fungiを試験対象とする液体希釈法の方法が定められています。Clinical and Laboratory Standards Institute (CLSI: 以前のNCCLS) の刊行する

NCCLS M27-A2 (Vol. 22 No. 15)・・・酵母真菌の液体希釈法
NCCLS M38-A (Vol. 22 No. 16)・・・Filamentous fungiの液体希釈法
NCCLS M44-A (Vol. 24 No. 15)・・・酵母真菌のディスク法
にある勧告法を参照ください。CLSIの住所, 連絡先は:
940 West Valley Road, Suite 1400, Wayne, PA 19087, USA

Tel: 610-688-0100  Fax: 610-688-0700
E-mail: exoffice@clsi.org   Website: [http://www.clsi.org

(琉球大学・山根 誠久)
【質問者からのお礼】
 ご返信ありがとうございます。私の文献検索力の無さのため, 基礎的な質問をしたにもかかわらず, 詳細な返答を頂くことができ大変助かりました。ご教授してくださったことを元に実験計画を立てたいと思っております。

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