05/07/28
■ 症状のないMRSA保菌者
【質問】
 前略 お忙しい中, 失礼いたします。私は救急病院に勤務している者ですが,  病状も安定し, 退院できる状態の患者さんですが, 痰からのMRSAがなかなかマイナスにならず, 施設に戻ることができません。現在は痰もなく, 症状もまったくないのですが, 標準予防策が必要でしょうか (手洗いは励行しています)。また, このような患者さんの施設受け入れ状況はどうでしょうか???

【回答】
 回答いたします。この患者様は, MRSAを咽頭に保菌されている, あるいは気管 (気管切開などで) に保菌されている患者様であると推察します。この様な患者に除菌しても“一時的 (長くて4〜6週間程度は陰性)”であり, ムピロシン, イソジンなどの局所投与, あるいはバンコマイシンなどの全身投与は無効です。基本的に慢性的な呼吸器疾患があれば除菌は無理と考えてください。

 MRSAがマイナスにならなくても施設に帰ることは可能です。またMRSA陽性を理由に施設が受け入れを拒否することは人権の視点からは問題となる可能性が高いかと思います。

 標準予防策は, 医療あるいは介護が行われるすべての施設において必須のものであり, MRSAに限定されたものではありませんので, 質問者のお考えでよいと思います。受け入れになんら問題はありません。

(京都府立医科大学・藤田 直久)


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