■ 食品衛生法による成分規格について (その3) | |
【質問】
関係省庁に問い合わせのうえご回答いただきまして, 深くお礼申し上げます。「質問箱」の質問・回答と, 自分の質問に対していただきました回答の内容をもとに, 自分の考えを若干述べさせていただきます。 食品衛生法には規格が示されていますが, これは同時に示されている検査法 (公定法) をもってのみ確認できると自分は認識しております。食品衛生検査指針微生物編2004年版にも, 通則において「ただし最終判定を行う場合には、公定法によることとする」と示されています。「質問箱」の質問内容における食品 (加熱後摂取冷凍食品のうち「凍結直前に加熱されたもの以外のもの」) の大腸菌の公定法は, 100倍希釈液を3本のEC発酵管に1 mlずつ接種する方法となっています (試料量としては0.03 gram相当)。すなわち, 1 gramあたりの大腸菌の存在を確認する方法ではありません。1 gramを検査しようとすると公定法から外れた方法でなければできませんので, 指針にも示されている通り, 最終判定とはできないのではないでしょうか。 厚生労働省基準審査課に問い合わせていただき, その回答が「E. coli陰性の考え方は, “あってはならない”」とのことですが, 1 gramや10 gramあるいは100 gram・・と際限ない量であっても“あってはならない”ことなのでしょうか。食品衛生検査指針微生物編2004年版の「9リステリア 4. 結果の解釈」に,「zero tolerance (検出されてはならない, (−)/25 g)」という表現があります。これは, 検体量および検査法を決めて, そのなかで検出されてはならないということを示していると自分は理解しています。さらには, 規格が「陽性・陰性」で示されているもの, すべてにあてはまることと認識しています。最初の質問に対して回答者の方は,「検体1 gramで検査した場合, E. coilが検出されたら規格外になります」と回答されています。しかし, 前述した理由から, その内容に疑問が湧き, 根拠が知りたくなった次第です。 あと, E. coliの「陰性/0.01 g」という表現ですが, お知らせいただきました食品衛生検査指針に記載されていることを確認しました。この表現自体は存在するということで承知致しました。ただ, この指針には検査法も示されており, それは現在のものと同じでした。そうしますと, 試料量としては0.01 gram×3で0.03 gramとなります。実際の試料量は0.03 gramなのに, 表現としては「陰性/0.01 g」となるということで、また新たな疑問ができてしまいました。例えば, アイスクリームの大腸菌群であれば, 同様に表現すると「陰性/0.1 g」となってしまうのでしょうか。 いろいろ自分の考えを述べさせていただきましたが, もし認識不十分な部分がありましたらご指摘いただけますと幸いです。以上、よろしくお願い申し上げます。 【回答】
(日水製薬・小高 秀正) いろいろな法律, 文書には適切でない, あるいは正確でない表現や翻訳が残っているのも事実です。実務者がそれぞれの現場からこのような疑問を正す努力をするのは大変よいことだと思います。質問者御自身も, 試験方法の成立過程や経緯を調べていただき, 是非この質問箱に御意見を寄せていただければ幸いです。 (琉球大学・山根 誠久) ご回答いただき, ありがとうございました。 |