04/08/25
04/08/31
■ 院内調剤 (ソルーションG 液) の滅菌方法
【質問】
 こんにちは。私は茨城県の調剤薬局で薬剤師をしている者です。あまりに基本的なことでお尋ねするのははばかられるのですが, 教えてください。

 私の勤めている薬局はごく一般的な調剤薬局なのですが, “ソリューションG液”なるものを調製して欲しいとの依頼がありました。どうも, バルーンカテーテルを入れていらっしゃるようで, アルカリ尿の溶解のために使うようです。おそらく, 膀胱洗浄として使用と思われます。モノの本によると, 院内製剤などとして調製している病院もあり, 「調製後, メンブレンフィルター (穴径0.45) でろ過した後, 高圧蒸気滅菌115度30分」とありました。しかし, うちの薬局には高圧蒸気滅菌のできる設備がありません。膀胱内に直接入れて洗浄するわけで, 一度に500 mlを10本ほど持っていくみたいで, 比較的長い間家庭内で置くわけですので, やはり“オートクレーブでの滅菌は絶対的に必要な処理となりますでしょうか”??? 患者さんのニーズに答えて差し上げたいと思っているのですが, オートクレーブを一人の患者さんのために購入することは難しいのです。メンブレンフィルターは少々値がはりますが, 購入して使用することはできるのですが, “フィルターを通しただけでは, 滅菌は十分とはいえないのでしょうか”??? またメンブレンフィルター後, オートクレーブではなく, 昔ながらの“シンメル煮沸器で1時間くらい処理すれば, オートクレーブ並みの滅菌効果が望めるものでしょうか”??? オートクレーブは無理でも, シンメルならば買ってくれるかも???)

何とか患者様のお役に立てればと思っているのですが, 知識もなく回答が得られないのです。お時間のあるときにご教授いただければ幸いです。

【回答】
 当院においても, 結石の溶解や腎盂洗浄目的で「ソリューションG液」を院内製剤で作っています。その際, ご指摘のとおり, (1) 0.45μmのメンブランフィルターでろ過, (2) 115度30分高圧蒸気滅菌のふたつの工程の滅菌操作を施しています。細菌の大きさは一般的に, 80μm〜0.2μmですので, 0.45μmのメンブランフィルターでは0.45μm以下の細菌はフィルターを通過してしまいます。そのために高圧蒸気滅菌を併用していると考えられます。薬局には高圧蒸気滅菌のできる設備がないとのことですが, この工程がなければ, 滅菌製剤とはいえません。経営者の方とその必要性についてよく話し合ってください。シンメル煮沸器が高圧蒸気滅菌の代わりになるかどうかはデーターを持ちません。しかしながら, 滅菌した溶液を別の容器に移し替えるとすれば, その段階で汚染の可能性は否定できないと思います。「何とか患者様のお役に立てれば」というお気持ち, 同業者としてよく分かります。頑張ってください。

(琉球大学・糸嶺 達)
【質問者からのお礼】
 こんばんは。“solution G”液について早々のご指導ありがとうございました。しばらく留守にしておりまして, 御礼が遅れましたこと, お詫び申し上げます。先生のご回答を参考に, 資料を合わせて経営者に再度相談いたしました。その結果, なんと小さいものですが卓上型のオートクレーブを購入していただけることになりました!!! (^^♪(^^♪(^^♪(^^♪ あきらめず, 話してみるというのは価値があるものですね。先生のご回答にも励まされました。本当にありがとうございました。

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