06/10/23
■ 多剤耐性緑膿菌の定義
【質問】
 当院でも薬剤耐性菌の増加についてサーベイランスをしていますが, 様々な情報が錯綜していてMDRP (多剤耐性緑膿菌) の定義が不明です。カルバペネム, ニューキノロン, アミノグリコシド系の3系統に耐性であれば, MDRPとしてよいのでしょうか??? もし, PIPCやCAZに感受性があればMDRPとはいえない気がするのですが???

 それと・・・<セパシア>は<セラチア>に近いのでしょうか??? シュードモナス属でしょうか??? 学生時代以来, 細菌学は不勉強ですので教えてください。

【回答】
 学術的な定義は未だありませんが, 国立感染症研究所感染症情報センターによれば, 感染症法で言う「薬剤耐性緑膿菌の定義」は, “イミペネムなどのカルバペネム系, シプロキサシンなどのフルオロキノロン系, アミカシンなどの抗緑膿菌用アミノ配糖体系の3系統の抗菌薬に対し「すべて耐性」と判定された緑膿菌”とされています。そして2種類の型が存在することが知られています。メタロβラクタマーゼを産生するMBL型と産生しないMBL非産生型です。MBL型は, ほぼすべての抗菌薬に耐性を示しますが, 非産生型は, 第三世代セファロスポリンやセファマイシンなどの効果が期待できる場合があります。従って, ご質問のPIPCやCAZに感受性株が後者に該当する場合と考えられます。

 また, セパシア(Burkholderia cepacia)は以前Pseudomonas属に分類されていた菌種であり, 「ブドウ糖非発酵性菌」ですが, セラチア(Serratia marcescens)は腸内細菌科に分類された菌種で「ブドウ糖発酵菌」です。これらの菌種は分類学上は近くないものです。

(愛媛大学・村瀬 光春)

【質問者からのお礼】
 ご回答ありがとうございました。やはり, MDRPに分類されるということですね。


戻る