■ 「多剤耐性緑膿菌」について | |
【質問】
はじめて質問させていただきます。中規模病院で細菌検査に従事している検査技師の●●と申します。「多剤耐性緑膿菌」の定義についてご指導ください。 薬剤感受性試験の結果, 同系統の薬剤の判定結果がバラつき, 困惑しています。具体的にはIPM/CS (R), MEPM (S)であり, GM (R), AMK (I), TOB (S), LVFX (R), CPFX (I), GFLX (S), PIPC (S), CAZ (S), CPZ/SBT (S)という結果になりました。測定結果に疑問を持った技師が再度純培養して試験したのですが, まったく同じ結果になりました。このような薬剤感受性パターンの菌株の場合, これは「多剤耐性緑膿菌」と言えるのでしょうか。 また医師から, 「PAPM/BPを使っているが, 効果はあるのか???」という質問がありました。このような場合, 感受性結果を推定することは可能でしょうか。よろしくご指導お願いします。 【回答】
(1) イミペネムのMIC 16μg/ml以上, または感受性ディスク (KB) の阻止円直径が13
mm以下
これらの判定基準により, 質問された菌株を判定すると, IPM/CS (R), AMK (I), CPFX (I)であり, 典型的な「多剤耐性緑膿菌」ではなく「IPM/CS 耐性緑膿菌」と思われます。私どもの経験では, MEPM, TOB, GFLX, PIPC, CAZ , CPZ/SBTなどは, 耐性「R」の成績が得られる菌株が多くあります。 また, PAPM/BPの効果についての医師からの質問に対しては, 多剤耐性緑膿菌であれば“効果はない”と推定が可能と思われますが, 今回のようなMEPM (S)である菌株では, 薬剤感受性試験で「R」か「S」か推定できません。薬剤感受性試験の結果から直接判断されては如何でしょうか。 (愛媛大学・村瀬 光春) |