04/09/09
■ 点滴のプラボトルのアルコール消毒について
【質問】
 都立の病院に勤務する歯科衛生士です。病院の感染コントロール委員をしています。

 当院にはCDCガイドラインに沿った院内感染防止マニュアルがあります。マニュアルでは, 点滴のプラボトル, バイアルを開封したときは「2枚のアルコール綿で清拭する。アルコールが乾燥してから針をさす」ことになっており, アルコール綿は単包のポケットコールを使用しています。また東京都の指導でも「2度拭き」をすることになっています。以前, この質問箱で同様の質問に対して「アルコール綿で拭いたほうがいい」という回答を拝見しました[http://www.jarmam.gr.jp/situmon/tenteki_botoru.html]。当院のように, パックされた“1枚入りのアルコール綿でも, 2枚使って拭かなければならないのでしょうか???”多忙な業務の中で「2度拭き」はほとんど守られていないのが現状です。感染コントロール委員も, スタッフが納得できる説明ができない状態です。守られないマニュアルで, さらに根拠に乏しいものであれば, マニュアルを改訂するように病院に働きかけたいと思います。逆に「2度拭き」の根拠があれば, きちんと説明し, 指導したいと思います。ご多忙中とは存じますがよろしくお願いいたします。

【回答】
 点滴のバイアルなどの消毒について, CDCガイドライン「血管カテーテル関連感染の予防のためのガイドライン (2002年)」および東京福祉保健局「院内感染 (点滴ルートからの感染予防)」マニュアルでは「70%vol%のアルコールで消毒する」ことが明記されています。一方,「2度拭き」することについては“いずれにも明記されていません”。また, 最近のガイドラインでは「2度拭き」について明記されたものはないようです。しかしながら, これらのガイドラインに「1度の清拭でよい」という文面もなく, 清拭の頻度については触れられておりません。従来より国内の病院では, 注射前の消毒などで,「1度目は油分などの除去が目的」,「2度目が消毒を目的」として「2度拭き」することが院内でマニュアル化されているなど, 独自に決まりごとを設けている場合があるようです。よって「2度拭き」の明確なエビデンスはないと思われます。

(琉球大学・糸嶺 達)


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