■ 特殊なPCR法??? | |
【質問】
○×大学農学部3年次に所属するものです。 『Tropheryma whippeliiのshock protein 65 遺伝子 (hsp65) の一部分のクローニングとシーケンシングやPCRを用いた臨床用検体でのT. whippeliiの検出におけるその使用』という専門論文を読んでまして, “seminested PCR”, “internal transcribed spacr (ITS) PCR”という聞き慣れないPCRがでてきたのですが, seminested PCRやITS PCRはどのようなPCRで, 一般にいうPCRと何が違うのか教えていただけないでしょうか。 【回答】
ネスティッド (nested) PCRとは, 初めに実施したPCR (1st PCR) 領域より, さらに内側の領域でPCRプライマー・セットを合成し, 2回目のPCR (2nd PCR) を実施します。クローニングなど, より特異性を上げてPCRを実施したい時に用いる方法です。1st PCRで増幅がうまく行かない場合, ファミリーが多い時や似た配列が多い時に用いる方法です。これに対し, セミネスティッド (seminested) PCRは2nd PCRプライマーを1セット (2種類) とせず1種類のみ用い, 1st PCRのプライマー・セットの片方, または両方との組み合わせでPCRを実施する方法を言います。 ITS PCRとは, 転写されない部分にプライマーを設定するPCRです。種の間で, 転写領域の保存性がかなり高い場合, ITSに違いを見出せれば有効なPCR方法となります。 (ロシュダイアグノスティックス・佐々木 政人・林 邦彦) [戻る] |