04/09/09
■ バイオクリーンベンチと安全キャビネット
【質問】
 再生医療の品質検査業務を行っている者です。

“バイオクリーンベンチ”と“安全キャビネット”の違いはどこにあるのでしょうか??? クリーンベンチと違い, バイオクリーンベンチは外気が入らないようにエアーカーテンがあり, HEPAフィルターを通してフレッシュな空気を循環させているので, 安全キャビネットと変わらないように思えるのですが・・・。宜しくお願いします。

【回答】
 早速, 簡潔にお答えいたします。安全キャビネットは, HEPAフィルターで濾過した排気を行うことにより, 作業台内を常に陰圧に保ち, 実験操作中に発生するエアロゾルなどが外部へ拡散しないようにしたものです。要するに, 外に出ると“マズイもの”を外へ出さないように設計されているのが安全キャビネットです。一方, バイオクリーンベンチは, 中が外より若干気圧が高く設定されています。中の方が低いと, ベンチ外の汚染物質を吸引してしまうからです。多くのバイオクリーンベンチは裏面か, 下面に空気の取り入れ口があり, そこから侵入した空気をフィルターまたは吸着剤を通してクリーンにして, 作業スペース内に流すように設定されています。要するに, 汚染物質が中に入ってこないように設計されているのがバイオクリーンベンチです。もちろん, フィルターや風向きを調整して, 両方を兼ね備えたものも存在します。もう少し補足します。

 圧力 (気圧) で考えてみましょう。バイオクリーンベンチは, そのクリーンな空気は外へ流れたり, 一部循環して, もう一度フィルターの方へ行くように設計されているものもあります。一方, 安全キャビネットは, 中の気圧は外より低くなっています。さもないと, 中で扱う有害物質 (危険度の高い病原微生物) が外に流出してしまうからです。中の作業スペースには必ず排気口が設置されており, 有害物質を吸引します。圧力の関係で, 外の空気も作業スペースを通って吸引されます。その有害物質は, 通常は建物の有害排気管に接続され, 建物施設としてある有害物質処理を施されて無害化され, 大気中に放出されます。いずれにせよ, 圧力と空気の流れがポイントだと思います。

(信州大学・川上 由行)
【質問者からのお礼】
 回答ありがとうございました。安全キャビネットは外に出さないようにするもの, バイオクリーンベンチは内に入れないようにするものだったんですね。新しく施設を立ち上げる時の参考にさせて頂きます。分かり易い解説ありがとうございました。
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