06/04/25
■ XM-G培地の野菜による発色
【質問】
 はじめまして。私は, つゆ, ドレッシング類などの液体調味料を製造している食品メーカーの品質管理部に所属しております。現在, 大腸菌群判定において, 迅速法として酵素基質培地「XM-G」を使用しております。先日, いつものように検査をしましたところ, 調味料中に原料として入っている白ネギのミンチが発色していることが分かりました。どう観察しても菌による発色ではありません。培地の発色原理としてβ-ガラクトシダーゼによって発色するということは, 原料中にその酵素が活性状態で存在していれば, 発色してしまうということなのでしょうか??? 白ネギにこの酵素が存在するのかどうかわかりませんが, もし存在するとすれば, 今回, ネギ自体は加工中に加熱しておますが, 低温殺菌のため, 酵素が完全には失活せず, 最終製品中に残存した可能性というのが考えられるのかどうか教えて下さい。何卒よろしくお願い致します。

【回答】
 β-ガラクトシダーゼは動植物から微生物まで広く分布している酵素です。ですから, 白ネギにもβ-ガラクトシダーゼが存在していることが推測できます。原料中にその酵素が活性状態で存在していれば, 発色しますが, 培地全体が淡い色にとどまります。低温殺菌の条件が記載されていませんが, 質問者の推察の通り失活せずに残っていると考えられます。酵素はタンパク質が主成分ですから, 100℃で数分間加熱を続けるとほとんどの酵素は作用しなくなります。XM-G培地は大腸菌群の発育が良好なため, もし大腸菌群が存在すればコロニ_形成を認めると考えられます。選択培地を判定する場合は, 標準寒天培地のような非選択培地での菌数を参考にすると大きな間違いにはつながらないと思います。

(日水製薬・小高 秀正)

【質問者からのお礼】
 お返事ありがとうございました。白ネギの加熱温度は60℃のブランチング程度で, 酢に数時間漬込み処理を行っていますが, ネギの表面は殺菌されていると思いますが, ネギ細胞の内部までしみこんでいるかどうかは疑問です。ミジン切りにはなっているのですが。蛋白質は酸でも変性すると思うのですが, 細胞内までしみこんでいない可能性もあるので, 酵素が完全には失活していないのかもしれません。生の白ネギと100℃で加熱した白ネギをX-MG培地に接種したところ, やはり加熱処理したものは発色しませんでした。私もインターネットでいろいろ検索しましたところ, CAZyという糖質関連酵素のデータベースを見つけ, β-ガラクトシダーゼがいろいろなものに存在していることを知りました。今後ともご指導のほど, お願いいたします。取り急ぎ、御礼まで。


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