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【質問】
今年の夏から, ある診療科の入院患者から同一菌種 (パルスフィールドゲルにて同一遺伝子型)
のAcinetobacter baumanniが多数検出されています。すべて同一病棟でした。処置室を共有しているので一度環境調査をしましたが検出されませんでした。院内の他の病棟からも検出されていますが,
異なった菌種でした。
(1) この菌は乾燥した環境にも長時間生息できる菌とのことですが, どの程度の期間生存し感染性を保っているのですか。
(2) 多剤耐性ではまだないのですが, 抗菌薬の使用制限はどのような抗菌薬に対してするべきでしょうか。
(3) 再び環境調査をするかどうかも検討しています。その際, どのようなことに注意すればよいでしょうか。
【回答】
(1) どの程度の期間生存し感染性を保っているか。
Acinetobacter spp.は通常, 環境や土壌に広く生息し, しばしば健常人の皮膚にも常在します。アシネトバクターは乾燥にも強く,
皮膚や環境中で数日間は生存可能といわれています。
(2) 抗菌薬の使用制限に関して
治療が必要な患者さんに対しては, 感受性のある抗生剤を十分投与することになると思いますが,
保菌者に関しての抗生剤の投与は必要ありません。もちろん, 一般的にその病棟での抗生剤の適切な使用がなされているかの確認は必要と思います。
(3) 環境調査について
多くの健康な人が, アシネトバクター属の細菌を皮膚に保持しているといわれています。また,
医療器具 (バイトブロック, 吸入器など) からのアウトブレークの報告もあります。どのような患者さんに多発しているかを検討し,
可能性のある医療器具や医療従事者の手を確認することが必要かもしれません。
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