09/07/12
■ amp C型βラクタマーゼの判定
【質問】
 いつも興味深く拝見させていただいております。一般病院に勤めております検査技師です。細菌検査 (外注となっております) の培養結果につきましてお伺いします。

 喀痰より分離された菌が,『E. coli (3+) amp C βラクタマーゼ産生が推定されます』との結果が返ってきました。感受性の結果は, ABPC, PIPC, SBT/ABC, CEZ, CMZ, CTXが (耐性 R), CZOPが (感性 S) です。お伺いしたいことは:

(1) amp C βラクタマーゼの産生は, どの様な薬剤の結果で推定されたのでしょうか。

(2)amp C型の産生が推定される場合, 第1世代から第3世代のセファロスポリン系薬剤は耐性 (R) で報告し, 第4世代は判定どおり報告ということになっているそうなのですが, CPRなどは第4世代となっていますが, CZOPは本によっては第3世代に入っています。この場合, CZOPは (S) という判定を報告してよいのでしょうか。

(3) amp C産生と判断された菌と同じ薬剤感受性の結果で, Enterobacter cloacaeについてはamp Cについての記載がなかったのですが, “もともとamp Cをもっているので”とのことですが, 臨床に説明するのに私達はどのように理解すればよいのかわからないでいます。感受性の結果と菌の組み合わせでそれぞれ異なった判断をするのでしょうか。

 なかなか理解できず, ご教授願えればと思い質問させていただきました。お忙しい中, 稚拙な質問で申し訳ありません。よろしくお願いいたします。

【回答】
(1) E. coliのampC過剰産生タイプはCMZおよび第3世代セフェム系薬 (今回はCTX) が耐性で, 第4世代セフェム系薬のCZOP, CPRなどは感性を示しますので, CMZ, CTXとCZOPの感受性結果で推定していると考えられます。

(2) CZOPはCPRと同じ第4世代セフェム系薬に分類されますので, 感性(S)と報告してください。第4世代セフェム系薬はampCの影響を受けにくいといわれています。

(3) 日常検査で経験するE. coliは耐性化していない株が多いのですが, 本来染色体上にampC遺伝子を持っていますので, 耐性化が起こると今回のような感受性パターンになります。Enterobacter cloacaeは本来CMZ耐性というパターンをとりますが, CTXは感性です。E. cloacaeで同じ感受性成績を示した場合は(CTXが耐性と判定された場合), E. coliと同様に“ampC過剰産生”タイプとして報告されてはいかがでしょうか。

(愛媛大学・宮本 仁志)


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