07/11/01
■ オートクレーブ滅菌とフィルター滅菌
【質問】
 研究室でオートクレーブ処理するもの, 0.22 μmのフィルターをかけて滅菌とするものの2つがあります。培地は主にフィルターです。どうして使い分けているのでしょうか???

 また, 薬品でも第一リン酸, 第二リン酸, ホルマリンなどは, 薬品作製後にオートクレーブ処理できないのでしょうか???

【回答】
 早速回答いたしますが, 正直いってどのように回答しようかと思いました。

「どうして使い分けるのか」については,『オートクレーブ処理可能なものはオートクレーブ処理します。オートクレーブ処理が出来なくて0.22 μmのフィルターを用いて処理するしか他に適当な方法がないものについてはフィルター処理します』ということです (安価で簡単なオートクレーブ滅菌が第一選択で, オートクレーブ処理できないものだけその他の滅菌方法を行う。その他のひとつがフィルター滅菌)。「培地は主にフィルターです」といっていますが, 熱処理が可能な培地はいくらでもあります。ですから, 培地はすべてオートクレーブ処理して, フィルター処理の経験がほとんどない研究者もいると思います。質問者がどのような培地を念頭に質問されているのかが解りませんので, 詳細についてはお答えできませんが, 例えば「熱処理」によって破壊され易い薬剤などについてはフィルターによる処理を行ないます。

 薬品の「第一リン酸」「 第二リン酸」とは何でしょうか??? 第一リン酸ナトリウムですか??? それとも第一リン酸カリウムですか??? それとも・・・どこかに, 薬品調製後に「オートクレーブ処理できない/してはならない」という記載でもあったのでしょうか??? 質問が省略され過ぎていて, 私に状況の把握が出来ないだけのことかも知れませんが・・・

 それから, ホルマリン液を作製後 (濃度調整でしょうか???) にオートクレーブ処理とは驚きです。そもそもオートクレーブ処理の目的は何でしょうか??? 高圧滅菌処理が目的ですよね。ホルマリンはそれ自体で「中水準」の消毒薬です。ホルマリン漬けにする病理標本は長期保存に利用されています。消毒薬を滅菌して使用することは通常ではありません。また, 高圧滅菌によって発生する「ホルマリンガス」は人体に極めて有害で危険です。決して「オートクレーブ処理」はしないで下さい。

 質問と回答がかみ合っていないようでしたら, 改めて質問して下さるようにお願いします。

(信州大学・川上 由行)


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