07/02/07
■ 培地に加える動物血液
【質問】
 初めて質問させていただきます。今度大学の卒論の研究テーマでCampylobacterをやることになったのですが, 菌の分離や純培養するときは馬血の血液寒天培地を使っているのですが, 薬剤感受性試験のときは羊血の血液寒天培地を使いました。なぜ血液を変えるのでしょうか??? 馬と羊ではなにか血液成分が違うのでしょうか??? よろしくお願いします。

【回答】
 Campylobacterの分離培地は, 1977年にスキローが開発したスキロー培地が最初で, ウマの溶血液を使用しています。ウマの溶血液を使用した明確な理由についてはわかりませんでした。その後, いくつか培地が出されていますが, 羊血液を使ったものや血液を添加しない培地もあり, 純培養, 継代培養においては羊血液寒天培地も使用されていますので、特にウマの血液でなければならない理由はないと思われます。確かに血液の種類によって, 発育に影響を受ける菌もありますが, Campylobacterの場合はその影響をあまり受けないと考えております。また, 昨年Clinical and Laboratory Standards Institute (CLSI) から出された提案文書, M45-Pでは, Campylobacterの薬剤感受性試験は5%羊血液加ミューラーヒントン寒天培地を使用するとなっています。羊血液は, 管理飼育と多量採血が可能であり, その結果, 製品ロット差が少ない理由から安定した供給が出来るということが羊血液が頻繁に使われる理由のひとつだと考えます。それにより精度の安定した培地を供給することが出来, 薬剤感受性試験においても安定した精度管理ができるものと考えています。

(日本ベクトン・ディッキンソン・鈴木 芳子)


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