07/01/30
■ 培地の滅菌について
【質問】 
 培地の滅菌について, パッケージに「121℃で15分間, 蒸気滅菌する」とあります。「滅菌」されていることをBI (biological indicator, 1.3×106 colony forming units) を使用してバリデーションしたところ, 121℃15分間の滅菌ですべての死滅を確認しました。バリデーションをオーバーキルメソッドを採用した場合, 2倍の30分間が滅菌条件になります。30分間の蒸気滅菌した場合, 培地の性能は低下するのでしょうか。一般的に121℃で15分〜20分間, 蒸気滅菌しますが, 根拠があるのでしょうか。

【回答】
 培地の滅菌については原則15ポンドの蒸気圧下 (121℃) 15分間実施することになっており, 多くの培地製品の使用法には,「121℃で15分間, 高圧蒸気滅菌する」と記載されています。滅菌条件について, より高圧に, より長い時間滅菌すると, 培地成分の変性による性能への影響が見られます。例としては, 炭水化物を多く含む培地では滅菌時間の延長と共に炭水化物が分解し, 培地pHを低下させます。また肉由来ペプトンおよびびエキスを含む培地では酸化物質の産生による培地の変色, 発育低下が懸念されます。

 滅菌条件についての根拠と言うことですが,「121℃で15分間, 高圧蒸気滅菌する」ことについては, 培地滅菌に限定されていることではなく, 微生物の滅菌法から由来していると推測しています。国内の日本薬局方では「121℃で20分間」, 米国薬局方では「121℃で15分間」とされています。厳密には, 滅菌条件は滅菌する培地の量や状態 (予め加温溶解をするなど) により異なりますので, 質問者が実施されたようなバイオロジカルインジケーターを用いた条件設定 (バリデーション) の必要があります。通常の培地滅菌は, 能書記載方法 (121℃で15分間など) を最低条件として考え, 培地滅菌量などにより加減が必要になります。 

(日水製薬・三品 正俊)

戻る