09/03/26
■ 培地性能試験について
【質問】
 初めまして。医療機器製造メーカーの品質管理部署に勤務しています。医療機器をEOG滅菌し, 無菌性保証としてBI (バイオロジカルインジケーター) を使用しています。使用しているBIは, RAVEN社のBacillus atrophaeus ATCC9372です。自社で調製した培地にて試験を実施するのですが, 液体培地のSCD培地 (日水製薬社製のSCDブイヨン) を使用しています。また, 通常のモニタリングに使用するSCD寒天培地 (栄研化学社製のSCD寒天培地) を使用しています。中途入社なので経緯が分からないのですが, 我が社では昔からBI試験用のSCD液体培地の培地性能試験にはBacillus atrophaeus ATCC9372, SCD寒天培地にはBacillus subtilis ATCC6633を使用しています。日本薬局方 微生物限度試験法においてBacillus subtilis ATCC6633はSCD液体 (寒天) 培地共に使用できると思うのですが, そこで質問です:

・質問1
 Bacillus subtilis ATCC6633はSCD液体及び寒天培地のどちらに使用しても問題ないのでしょうか??? (局方に記載してあるため, 問題ないと思うのですが)

・質問2
 おそらく使用しているBIがBacillus atrophaeus ATCC9372であるために, 培地の性能試験に使用する菌液をBacillus atrophaeus ATCC9372と考えられるのですが, 使用するBIのATCC番号が違っていても, 局方に準ずると, Bacillus subtilis ATCC6633でも問題ないのでしょうか???

・質問3
 日本薬局方 微生物限度試験法 表4.05-1 試験菌の調製と使用法 に記載されています「Bacillus subtilis 例えば、・・・」とありますが, 例えばにBacillus atrophaeus ATCC9372は含まれるのでしょうか???

以上, 分かりにくくて申し訳ございませんが宜しくお願いいたします。

【回答】
 質問1のBacillus subtilis ATCC6633はSCD液体及び寒天培地のどちらに使用しても問題ありません。

 質問2については、Bacillus subtilis ATCC6633を培地性能試験に用いた方が日本を含む各国薬局法に示された方法と整合性がとれます。

 質問3の「Bacillus subtilis例えば、・・・」とあるのは、ATCC(American Type Culture Collection:米国)、NCIMB(National Collection of Industrial and Marine Bacteria:英国)、CIP(Institut Pasteur Collection:フランス)、NBRC(NITE Biological Resource Center:日本)のようなアルファベットは菌株保存機関の略称です。例えば、ATCC6633, NCIMB 8054, CIP52.62,NBRC3134は同一株です。Bacillus atrophaeus はBacillus subtilisと分類学上違いますので、日本薬局方に示しているBacillus subtilisは1菌種と考えることができます。

(日水製薬・小高 秀正)


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