|
【質問】
はじめまして。私はある飲料メーカーで品質管理をおこなっている者です。
早速ですが, 弊社では微生物検査で用いる培地に, 検出菌の選択性を高めるため,
抗真菌剤であるシクロヘキシミドを添加しています。シクロヘキシミド添加のタイミングは,
培地の調製時で, “培地と一緒にオートクレーブにかける”というのが現在の作業の流れです。ちなみに添加量は100
ppm, 滅菌条件は121℃, 40分です。以前,「シクロヘキシミドは熱で変性することがある」と聞いたことがあるのですが,
この条件で滅菌をおこなって, シクロヘキシミドが失活することはあるのでしょうか???
教えてください。
【回答】
シクロヘキシミドは放線菌 (Streptomyces griseus) によって生産される抗生物質です。培地に抗生物質など熱によって変化しやすい物質を添加する際には,
オートクレーブするのではなく, 抗生物質を別にろ過滅菌して, オートクレーブで滅菌した培地
(抗生物質以外) を50℃前後に冷やしてから添加するのが一般的な方法です。よって,
培地へのシクロへキシミドの添加は, ろ過滅菌後の別添加をお勧めします。
(テクノスルガ・ラボ 立里 臨)
【読者からの意見】
貴会「質問箱」に掲載された「培地へのシクロヘキシミドの添加」の回答内容についてコメントさせて頂きたいと思います。
回答者が述べているように, 抗生物質など熱によって変化しやすい物質を培地に添加する際には,
別に濾過滅菌してからオートクレーブ滅菌した培地へ添加するのが一般的な方法です。しかしながら,
シクロヘキシミドとクロラムフェニコールは121℃, 15分程度のオークレーブ滅菌に耐えられるということから,
オートクレーブ滅菌前に培地に添加して使用されています。質問者の培地滅菌条件下
(121℃, 40分) でシクロヘキシミドが失活しないかどうかは, 一度確認する必要があると思いますが,
少なくとも121℃, 15分程度のオートクレーブ滅菌ではシクロヘキシミドが失活することはありません。
|戻る|
|