09/06/17
■ 培地の溶解・滅菌温度の違い
【質問】
 はじめまして。私は乳製品会社の品質管理課で働いている●●と申します。

 普段, 生菌数測定などで使用するTOS培地や細菌検査で使用するDESO培地は121℃, 15分の滅菌時間ではありません。これには何か理由があるのでしょうか??? 普通, 滅菌時間は121℃, 15分と思っていました。弊社ではTOSは115℃, 15分, DESO 95℃60分で溶かしています。初歩的な質問で申し訳ありませんがよろしくお願いします。

【回答】
 TOS培地とDESO培地は完全に組成, 用途が異なる培地であり, 121℃, 15分で滅菌しない理由も各々にあります。 

 TOSプロピオン酸寒天培地は, 発酵乳や乳酸菌飲料中に乳酸菌と混在するビフィズス菌検出用の培地です。ビフィズス菌は嫌気性細菌であることから, 培養には嫌気培養が必要で, TOS培地中にも還元剤のL-システイン塩酸塩が含まれています。L-システインは熱に弱いので, 滅菌条件を低く設定したのはこれが理由であると考えます。

 DESO培地 (Desoxycholate 培地)は, 水や食品中の大腸菌群の検査に使用される培地です。培地を調製した後はオートクレーブによる滅菌を行わなくてもよいとされています。理由は, 培地の組成に大腸菌群以外の細菌の発育を抑制するデゾキシコール酸が含まれていることによります。培地の調製にはなるべく短時間での加熱が望ましいです (寒天を溶かす程度)。加熱し過ぎると, 大腸菌以外の細菌に対する抑制作用が弱まりますので, 避けたほうが良いのです。

(テクノスルガ・ラボ 立里 臨)


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