09/06/16
■ 培養時間が日数の時の許容範囲
【質問】
 お世話になっております。原薬メーカーで品質管理の業務に携わっております。微生物限度試験の「培養時間」についてご教授頂きたく, メールさせていただきました。

 培養時間が時間ではなく, 日数で管理する場合 (5日間), 結果に影響が出る時間の誤差がどれくらいまでなら大丈夫なのでしょうか??? 例えば, 5日前の14時からインキュベーターにて培養を開始したら, 5日後の14時にインキュベータから取り出して判定を行えばよいと思うのですが, 業務のタイムスケジュールの関係で, 午前中にインキュベータから取り出さなければならないとした場合, 時間数で言うと, どれくらいのマイナス時間 (短縮) なら, 5日間 (120時間) 培養したとみなしてよいものなのでしょうか??? (6時間程度早く培養を終了させたとしても大丈夫でしょうか???)

以上の点でご教授いただければ・・・と思います。宜しくお願い致します。

【回答】
「新改定 GMP微生物試験法」(講談社サイエンティフィク) によると,「信頼性の高い集落数の計測値が得られたと判断される場合に限り, 培養後5日以前の計測値を採用してもよい。ただし, 培養時間を短縮するにはそれなりのデータを取得しておく必要がある」

「第十五改正日本薬局方第一追補解説書」の「MPN法」の注釈では,「汚染菌種によっては培養期間を延ばすことによって発育が認められるものもある。同一製品については, 測定法の適合性 (バリデーション) 段階でそのような菌種が存在するかどうかの評価が必要である。培養期間を延長することによって明らかに汚染菌数が増える製品の場合は, 培養条件について考慮を払うこともGMP上は必要である」と記載されています。生菌数試験は「5日間以上」となっていますから, 土曜・日曜を挟むように培養すれば, 業務上スムーズに行くのではないでしょうか。また, 午前中にこだわるのであれば, 6日目の朝に判定すればよいのではないでしょうか。回答者としては, 質問者の検査試料の内容がわからないため (検査対象となる微生物叢が不明であるため), 安易に何時間の短縮なら大丈夫という回答はできません。

(日水製薬・小高 秀正)


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