■ 血液培養での培養期間 | |
【質問】
●●病院で微生物検査を担当しております臨床検査技師の■■と申します。 当院では血液培養はベクトン・ディッキンソン社のBACTEC 9050を使用し, 5日間の培養を行っています。最近, 臨床の医師より3週間培養を行って欲しいとの依頼があるのですが, CLSIのガイドラインでは1週間培養, 様々な文献を検索してみましたが, 5日以上の培養は意味がないとしている文献もあり: (1)どれくらいの期間培養を行えば良いのでしょうか??? (2) 3週間培養を行う意義はあるのでしょうか??? 御教授願えれば幸いです。 【回答】
(2) まったく意義がないという訳ではありませんが, 99%無意味だと考えます。 全自動化された血液培養装置が日本で使用される以前は, 血液培養ボトルからの盲培養を3日, 7日, 後は 1週間毎といった手順が盲目的に行われていました。長く培養すればする程, 偽陰性の頻度を0 (ゼロ) にできるという信仰からです。 全自動血液培養装置の導入と、その開発目的から, 培養期間の見直しがされました。第一点は, 5 (あるいは7) 日以上培養して初めて「陽性」になった検体に含まれる細菌は9分9厘“皮膚常在菌”の混入であり, 病原菌だとしても, その時点で抗菌薬を変更したり, 新たに投与を開始するといった臨床的行動に結びつかない (臨床的意義に乏しい) こと、第二に, 全自動血液培養装置では同時に培養できる血液培養ボトルの数に制限があり, 培養時間が長くなると, 大型の培養装置が必要になる (1週間培養を3週間培養に延長すると, 同時に培養できるボトル数, 培養ユニット数を3倍にする必要がある) ことです。 最長5日あるいは7日培養して「陰性」と判定した場合, “偽陰性”がまったくないかというと“偽陰性”は発生しています。かつて評価した成績では, BacT/Alertの7日間培養で「陰性」と判定された1,500件の好気培養ボトル, 嫌気培養ボトルで4件 (0.27%), 2件 (0.13%) から盲培養で細菌が検出されています。 〔参考文献〕
(琉球大学・山根 誠久) |