07/02/14
Campylobacterの同定
【質問】
 ■■と申します。動物の微生物検査を行っております。

 下痢便をスキロー培地で37℃, 48時間培養し, それ (Campylobacter) らしいコロニーをグラム染色したところ, グラム陰性で螺旋型でしたので, 菌を増やしAPI Campyで同定しました。結果はC. fetus(84%, T 0.74) でした。その他に

 行った試験での結果は, オキシダーゼ陽性, カタラーゼ陽性, 25℃発育 (−), 43℃発育 (+), 好気条件下発育 (−), エリスロマイシン感性, ナリジクス酸耐性, セファロチン耐性, NaCl 1.5%および3.5%平板培地 (自家製) 発育 (−) でした。教科書などに記載されているC. fetusの性状とは少々違いますが, C. fetusとしてもよいものでしょうか??? それともCampylobacterではないのでしょうか??? お忙しいところ申し訳ございませんが, ご教授頂ければ幸いです。宜しくお願い致します。

【回答】
 動物の微生物検査を行なっているとのことですから, 下痢便も動物由来なのですね。だとしたら, どんな動物でしょうか??? 記載がありませんので判りませんが, 質問される場合には, 出来る限りの情報を記載していただきたく思います。さて, ご質問の菌株ですが, 記載されている性状からは, 確かに C. fetus の性状とは異なります。C. lari の可能性も否定できませんし, 詳細な同定が必要と思われます。その際に, 下記の文献参照が役に立つと考えます。

1) Mandrell RE et al. Speciation of Campylobacter coli, C. jejuni, C. helveticus, C. lari, C. sputorum, and C. upsaliensis by matrix-assisted laser desorption ionization-time of flight mass spectrometry. Appl. Environ. Microbiol. 71: 6292〜6307, 2005.

2) Duim B et al. Identification of distinct Campylobacter lari genogroups by amplified fragment length polymorphism and protein electrophoretic profiles. Appl. Environ. Microbiol. 70: 18〜24, 2004.

3) Klena JD et al. Differentiation of Campylobacter coli, C. jejuni, C. lari, and C. upsaliensis by a multiplex PCR developed from the nucleotide sequence of the lipid A gene lpxA. J. Clin. Microbiol. 42: 5549〜5557, 2004.

4) Waldenstrom J et al. Prevalence of Campylobacter jejuni, C. lari, and C. coli in different ecological guilds and taxa of migrating birds. Appl. Environ. Microbiol. 68: 5911〜5917, 2002.

(信州大学・川上 由行)

【質問者からのお礼】
 回答して頂きありがとうこざいます。動物はマーモセットの下痢便です。文献を参考にし, もう一度やり直してみたいと思います。


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