07/11/26
07/12/11
■“cfu/20 cm2”とは
 【質問】
 初心者でお恥ずかしい話なのですが, 教えていただきたいと思い, メールしました。

 細菌検査結果に使われる “cfu/20 cm2”の文字ですが, 一体何と読むのでしょうか??? “colony forming units”とまでは調べられたのですが・・・

(1) 意味と発音が分かりませんでした。コロニー フォーミング ユニッツ で合っていますか??? 意味は???

(2) また, 20という数値はどういう根拠でしょうか???

お手数ですが, ご説明をお願いします。

【回答】
(1) 発音はそれで正しいです。ただ, 日本語と違って, 発音する時には英語では特にアクセントが重要です。ロニー・フォーミング・ニッツと波打つように発音します。意味は, 文字通り訳すと, 「菌集落を形成する単位」となります。具体的には, 検査する試料を寒天培地の上に接種して塗り広げ, 培養した後で出現する菌集落の数です。塗り広げる寒天培地の面積を計算に入れて, 菌の濃度を表す単位として, cfu (菌集落の数)/cm2 (寒天培地の面積) という単位が使われます。

ひとつの細菌細胞がひとつの菌集落を作る場合には, 〔細菌細胞の数〕 = 〔菌集落の数〕となりますが, 細菌はしばしば2つ, 3つの細胞がくっ付いてひとつの菌集落を作るので, このような単位が使われます。

(2) 20という数値はこの場合, 分母です。(1) の回答から推測するに, おそらくこの20は培養に用いた寒天培地の面積だと思われます。

(琉球大学・山根 誠久)

【追加回答】
 一般的に, このような表記はふき取った面積またはスタンプ培地などで被検物に押しつけたときの培地の面積を意味しています。食品検体の場合は, 面積の代わりに重量 (gram) を用います。

〔参考文献〕
(1) 小高秀正ら: サルモネラ用フードスタンプ「ニッスイ」の回収性の実験的検討. 日本食品微生物学雑誌 11: 179〜183, 1994.

(2) Kodaka H, et. al.: Comparative evaluation of the Desoxycholate Agar Nissui Food Stamp and swab methods for estimating coliform organisms in poultry processing plants after cleaning in Japan. J. Basic Microbiol. 44: 445〜450, 2004.

(日水製薬・小高 秀正)

【読者からの意見】
 まず,「塗り広げる寒天培地の面積を計算に入れて」との記述は誤りだと思います。私の知る限り, そういった菌の計数はしません。cfu/cm2という単位は, 通常はサンプリング面積あたりの菌数を表わすものです。従って, cfu (菌集落の数)/cm2 (寒天培地の面積) の「cm2」は (サンプリング面積) であると言った方が良いでしょう。確かにスタンプ法で菌を採取した場合, 寒天培地の面積=サンプリング面積であり, 間違いとはいえません (落下菌検査の場合も, 寒天培地の面積=サンプリング面積となります)。しかし, スワブ法などにより菌を採取した場合, サンプリング面積 (例えば10 cm×10 cm)は寒天培地の面積とは関連性が無くなります。回答者の内容だと, 微生物検査の経験がない人が読むと, cm2はシャーレの面積なのだと勘違いしてしまうかもしれません。ちなみに, 20 cm2という面積についてです。こういった菌数検査であまり見ない面積です。60 mm径のシャーレは21cm2とほぼ近い値ですが, 微生物の培養にはあまり使わないと思います。フードスタンプの10 cm2の2枚分では??? というのが私の推察です。


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