09/07/08
Clostridium difficileの薬剤感受性試験
【質問】
 いつも勉強させていただいてありがとうございます。

 Clostridium difficileの感受性試験についてご教授ください。当院ではABPC, PIPC, CMZ, FOX, MNO, EM, LVFX, CLDMをKBディスクにて実施しています。結果の判定は過去のデータの蓄積した経験値を使っていますが不安です。エビデンスのあるデータはありますか。また基本的に感受性試験の必要はあるでしょうか。ご教授ください。

【回答】
 分離された個々の症例に由来するC. difficileについて薬剤感受性試験を治療目的で実施するか否かについては議論があるところですが, 特定のC. difficileクローンによる院内感染の発生を薬剤感受性の成績から監視し, Clostridium difficile-associated diarrhea (CDAD) の原因となる抗菌薬を医療施設毎に特定して注意を喚起する意味では意義があると思います。特にキノロン耐性のC. difficileには注意が必要でしょう。

 薬剤感受性試験の方法ですが, Clinical and Laboratory Standards Institute (CLSI) M11の勧告ではBrucella寒天培地を基礎培地にする寒天平板希釈法が勧告されていますが, 臨床検査室では現実的な方法とは思えません。ディスク拡散法を原理とするKBディスク法ではなく, 世界的に広く用いられている方法は, 少々高価ですが, Brucella血液寒天培地を用いたE-test法です。回答者の施設でもE-test法を採用しています[http://www.hosp.u-ryukyu.ac.jp/labo/oshirase/051407.pdf]。この方法だと, 今のところ世界的な科学雑誌に成績を投稿しても大丈夫です。

(琉球大学・山根 誠久)


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