07/10/19
■ 「Cumitech 1C」に書かれた血液培養の内容について
【質問】
 いつも興味深く拝見しております。県立病院勤務の検査技師です。

 ASM (American Society for Microbiology) 刊「Cumitec1C Blood Cultures IV」の日本語訳「血液培養検査ガイドライン」の62頁には,「適切に血液培養がオーダされているか調べるもう一つの方法として, 1000患者・日あたりの血液培養の検査数について調査がなされる」とありました。そこで質問ですが,「1000患者」とは, 入院と外来をあわせた人数で計算するものなのでしょうか??? また, 日本国内の病院では, この指標を用いているところは多いのでしょうか???お忙しいところ恐縮ですが, ご教示ください。

【回答】
 御指摘の文章は, 精度管理 (Quality Control) の項目のひとつとして記載されたものです。英語の原本では“Number of Cultures per 1,000 Patient Days”という記載ですが, この分母となる“Patient Days (Patientの単数形に注意してください)”は概ね“入院日”という意味で, 1,000人の入院患者で1日, あるいは1人の患者の1,000日入院分, 私の病院は600床ですから, 満床だと今日1日で600 patient daysということになります。従って, 入院患者が対象だと考えてください。

 日本は, Cumitechが刊行されるアメリカ合衆国とは医療環境 (あるいは医師の常識的な診療行為) が異なります。この指標を用いて, 精度管理している医療施設はほとんど皆無だと予想されます。

 この指標が目的とするところは, 高い陽性率は採血時の雑菌混入, 低い陽性率は検査室の検査方法, 試薬の問題や陽性となるべき患者で検査されていないといった原因が想定され, 原因を特定して改善を図ることになります。

(琉球大学・山根 誠久)


戻る