07/06/19
■ 中心静脈カテーテル (CV) 先の培養方法
【質問】
 病院検査室で臨床検査技師をしています。

 CVカテなどのカテ先培養についてですが, 培養方法や報告方法などで一般的といえるものがあれば教えてください。当院では現在, 提出されたカテ先表面と内側を滅菌生理食塩水でよく洗い, その生食 (洗浄液) を固形培地とカルチャーボトルを使って培養しています。固形培地に菌が発育せず, カルチャーボトルのみにCNSが発育することも多く, コンタミなのではないか, それを報告することで臨床は混乱するのではないかと思い, カルチャーボトル使用をやめるべきか悩んでいます。

 また報告する際の菌量について, 定量培養して欲しいとの臨床からの要望があるのですが, 使う生食の量やカテ先の長さなどで変わってくるのでどうすればいいかわかりません。生食の量を一定に決めるなどするべきでしょうか??? なにか文献などあればと検索しましたが, 見つけらず質問させていただきました。長文でわかりづらいかと思いますが, よろしくお願いいたします。

【回答】
 中心静脈カテーテル関連感染症の検査方法として半定量培養法 (Maki method) があります。“Maki method” 培養法は, 血液寒天培地の表面にカテーテル先端を押すようにして4回転以上, 万遍なく転がして塗布します。カテーテル先端の長さは5 cm必要です。曲がっているチューブは, 滅菌ピンセットや綿棒で真直ぐにしてから寒天培地表面を転がします。その後に, 適当な液体培地にチューブを投入して培養します。

 判定方法は, 寒天培地に15集落以上認めた場合に有意菌として判定します。15集落以下の場合と“液体培地のみ発育”は汚染菌の可能性が高いと判定します。Maki らは, 半定量培養法は感染と汚染を鑑別し, 液体培地でのカテーテル培養に比べ, カテーテル関連敗血症診断により特異性が高いと報告しています。以下の文献を参照して下さい。

〔参考文献〕
Maki DG, Weise CE and Sarafin HW: A semiquantitative culture method for identifying intravenous-catheter-related infection. N Engl J Med: 296: 1305〜1309, 1977.

(琉球大学・仲宗根 勇)

【質問者からのお礼】
 ご回答ありがとうございました。文献を参考に日常業務を見直したいと思います。

【回答への追加】
 2007年5月にapprovedされたClinical and Laboratory Standards Institute (CLSI) M47-Aが今日, 届きました。M47-AのタイトルはPrinciples and Procedures for Blood Cultures”で, 血液培養に関してapprovedされたCLSIの最初の版です。この勧告には, 3頁を費やしてCatheter-Related Bloodstream Infections (CRBSI) の検査診断の方法が記載されています。短期間のカテーテルでは, (1) 血液培養が陽性となり, かつ (and) カテーテル先端の培養で15集落以上の菌発育の場合はCRBSI, CVカテーテルの場合には, カテーテルを通過させて採血した検体とカテーテルを通過させないで他の静脈から同じタイミングで採血した検体を同時に培養するのが基本です。入手して参照ください。

(琉球大学・山根 誠久)


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