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【質問】
初めまして。いつも参考にさせていただいております。私は薬学部3回生のものです。質問をよろしくお願いします。
今回, 学生実習で微生物検査 (ふきとり検査) をしました。そこで“大腸菌群”について質問お願い致します。大腸菌群は乳糖を分解して,
酸とガスと発生しますが, このガスは何でしょうか??? 発生の仕方も含め, 教えてください。基本的な質問ですみません。よろしくお願いします。
【回答】
大腸菌群には複数の菌種が含まれますので, ここでは大腸菌で説明します。大腸菌は乳糖を利用するためにラクトース透過酵素,
β-ガラクトシダーゼ, β-ガラクトシドランスフェラーゼの3種類の酵素を合成します。3種類の酵素で乳糖をブドウ糖とガラクトースに分解します。さらにブドウ糖はピルビン酸に分解され,
ピルビン酸にギ酸ヒドロゲンリアーゼが作用してガスが産生されます。この反応で産生されたガスは“水素と炭酸ガス”となります。また培地にシスチンが多量に含有している培地では一般的な大腸菌も“硫化水素”を産生します。しかし通常のTSI培地やクリグラー培地
(少量のシスチン含有) では大腸菌は肉眼的に硫化水素産生を確認できません (稀に硫化水素多量産生の大腸菌も存在しますが)。通常は,
微量の硫化水素産生の確認試験 (鉛糖紙試験) を用います。
以上のことから, 質問者がTSIまたはクリグラー培地でのガスを確認しているのであれば,
産生されたガスは水素, 炭酸ガス, 少量の硫化水素を含みます。
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