10/02/23
■ 大腸菌群のコロニー判別
【質問】
 いつも参考にさせていただいております。私はカット野菜製造会社の品質管理を担当しております。大腸菌群の検査結果に関してお聞きしたいことがあります。

(1) カット野菜の大腸菌群を検査していて, 重層した培地の表面にピンク色のコロニーが形成されることがあります。このような場合, 大腸菌群として数えてよろしいのでしょうか。

(2) また, 培地内部に形成された赤色コロニーは大小関係なく大腸菌群として数えてよろしいのでしょうか。

培地は、日水製薬のデソキシコレート培地を使用しております。お忙しいとは思いますが, 宜しくお願い致します。

【回答】
(1) 食品衛生小六法の大腸菌群判定の仕方は,「暗赤色の集落を認めたものは推定試験陽性とし, 該当しないものは推定試験陰性とする」と書かれていますが, 回答者としては「重層した培地の表面にピンク色のコロニーが形成された場合」でも大腸菌群として数えることをお勧めします。その理由は, KlebsiellaEnterobacterなどの大腸菌群に属する細菌がデソキシコレート培地表面でしばしばピンク色のコロニーを形成することを経験しているためです。

(2) の質問は難しい問題です。質問者としては, 一律に赤色コロニーすべてを数えて大腸菌群数とするならば, 何も考えないですべての赤色コロニーを数えて結果を出せると考えておられる筈です。しかし, 小さなコロニーがはたして大腸菌群に属する細菌か否かという点に疑問を抱いているために, (2)の質問が生じてきていると理解しました。この点を解決するための手段として, 疑わしいコロニーを純粋培養して同定してみることです。しかし, 多くの検査担当者は時間がないために同定ができないのが現状です。そこで, 検査担当者の経験や知識が問われます。無理を承知の回答ですが, 気になる小さなコロニーを純粋培養して, グラム染色とBTB加乳糖ブイヨンによる培養を行ってみてください。グラム陰性桿菌で乳糖からガスの産生が確認でき, 培地の色が緑色から黄色に変わっていたら大腸菌群ですから, 大腸菌群数として数えることができます。このような確認を1回しておけば, 次の同じ検体の検査の時には, 迷うことなく大腸菌群数を数えることができると思います。

(日水製薬・小高 秀正)


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