07/11/28
■ 液体培地のpH調製
【質問】
 いつも勉強させていただいております。大学の研究室で研究補助をしています。細菌の生育至適pHを検討する際の実験方法について質問があります。

(1) 液体培地のpH調整には, 緩衝液を用いる場合とNaOH/HClのみで行う場合があるようです。また, 緩衝液もGood buffers, リン酸bufferやクエン酸bufferなど, 様々あります。個々の細菌の生育に影響を与えないものを選択するということなのかもしれませんが, どのように使い分けしているのでしょうか???

(2 ) 緩衝液の濃度と添加のタイミング

 緩衝液を用いて培地のpHを調整する場合, 濃度はどれくらいがよいのでしょうか??? また, 培地調整時に緩衝液を添加するのか, あるいはオートクレーブした培地に後から緩衝液を添加するのでしょうか???

(3) 緩衝液の滅菌

 緩衝液を無菌にした培地に加える時, あるいは緩衝液自体を保存しておく時は滅菌する必要があると思うのですが, やはり“フィルター滅菌”が一般的なのでしょうか???

どうぞよろしくお願いいたします。

【回答】
(1) 培地のpH修正には通常水酸化ナトリウム (1Nあるいは0.1N) および塩酸 (1Nあるいは0.1N) を用います。また, 培養菌種によっては10%炭酸ナトリウムあるいは硫酸を使用する場合もあります。通常は, 原則, 緩衝液 (バッファ) を用いた液体培地のpH調整は行いません。

(2) 前述のように, 通常は培地のpH調整に緩衝液を使用しません。しかし, オートクレーブ滅菌後の培地はpHが変化することがあります。たとえば水酸化ナトリウムでpHを修正した場合は約0.2低くなり, 炭酸ナトリウムを用いてpHを修正した場合には逆に約0.2高くなります。このような加熱によるpHの変動は, 培地にリン酸塩を加えていれば防止することができます。また, オートクレーブ滅菌後にpHの再調整を行う場合には, 滅菌した水酸化ナトリウムあるいは炭酸ナトリウムを利用します。

(3) 培地に添加するものは, 必ず滅菌しなければなりません。滅菌の方法は, 熱を加えても支障がない場合はオートクレーブ滅菌, 加熱により沈殿を生じたり, 他のものと反応したりする場合は“ろ過滅菌”を利用します。このように滅菌方法は, その物質の特徴を考慮して行うことが重要です。

(テクノスルガ・ラボ・立里 臨)


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