08/12/03
■ ESBL (extended-spectrum β-lactamase) 産生菌のスクリーニングと確認試験
【質問】
 中規模病院の細菌検査室に勤務する検査技師です。ESBL産生菌のスクリーニングと確認試験について教えていただきたいと思い, 質問させていただきました。

 ESBL産生菌のスクリーニングの薬剤として5薬剤 (CAZ, CTX, CTRX, CPDX, AZT) が挙げられておりますが, 確認試験にはCTXとCTX/CVA, CAZとCAZ/CVAの濃度差を判定に用いています。スクリーニングでCAZとCTX以外のどれかが, MIC>2で引っかかった場合 (CAZとCTXではMIC<2), 確認試験は必要なのでしょうか??? 結局指標とするのはCAZとCTXで, 単剤と合剤の間に濃度差が認められないので・・・

 また, このような場合の報告はどのようにするのが適当なのでしょうか??? 現在はESBL産生菌のコメントを“外して”そのまま報告しております。不勉強で申し訳ありませんが, ご回答のほど宜しくお願い致します。

【回答】
 ESBL産生菌のスクリーニングにおいて, E. coliKlebsiella spp.では指摘の5薬剤の内, CPDXのみ≧8μg/mlを採用していますので, CPDXのみ>2μg/mlとなってもESBL産生菌でない場合も考えられますが, CAZとCTXにおいてCAVの添加による影響がないようですから, ESBL産生菌ではないと思います。国内ではCAZに強く耐性傾向を示すTEM型, SHV型, またはCTXに強い耐性傾向を示すCTX-M型が分離されているので, スクリーニングにはこれらの2薬剤で実際上, 十分と考えます。

(愛媛大学・宮本 仁志)


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