07/06/11
07/06/12
■ 蛍光菌 (fluorescense) について
【質問】
 微生物に関わり始めて半年の初心者です。ある試料(液体)から菌を分離・同定した結果, Pseudomonas fluorescenceが検出されました。「Pseudomonas fluorescence = 蛍光菌」ということで,「UV(紫外線)を当てると光る」と聞きましたが, 本当でしょうか??? また, 蛍光発色は標準寒天培地上に培養したもので確認可能なのでしょうか??? 適切な方法がありましたらご教授お願いいたします。基礎的な質問ですが、よろしくお願いいたします。

【回答】
 微生物に関わり初めて半年ということですが, “色がつく (色素を産生する)”菌はわかりやすく, 興味が湧いてくる部分だと思います。

・“Pseudomonas fluorescensは紫外線を当てると光ると聞きましたが,本当でしょうか???”
 P. fluorescensは, 水溶性でクロロホルム不溶性の蛍光黄緑色色素であるpyoverdin (またはfluorescinとも呼ばれる) を産生し, 紫外線(波長360 nm)を照射すると明瞭な蛍光を発します。ただ色素の産生性には菌株によって強弱があり, 太陽光や蛍光灯下の観察では見落とされてしまう淡い黄色を呈することもありますが, 部屋を暗くして紫外線を照射することにより蛍光が認められるため, 確認が容易となります。ただし本色素を産生する菌には, P. fluorescensの他にPseudomonas aeruginosaPseudomonas putidaなどもありますので同定に使うには注意が必要です。

“蛍光発色は標準寒天培地上に培養したもので確認可能なのでしょうか???”
 標準寒天培地で試したことはありませんので, 明確な回答はできかねますが, 先にも述べましたように, 菌株により色素の産生性の強弱は異なりますので, 蛍光の確認はある程度可能と考えますが, 微弱な色素産生株を見落とす可能性はあります。Pseudomonas属用の色素産生確認培地として, King培地 (A培地, B培地) があります。King A培地はP. aeruginosaの産生するpyocyanine (青緑色) やpyorubin (赤色) の産生に適し, King B培地はpyoverdin (蛍光黄緑色色素) の産生に好適な培地であるとされています。培養は菌を接種して35℃で一夜培養後, さらに6日間室温 (20_22℃) に放置することになっていますが, 6日以内でも色素の確認ができます。ご質問のP. fluorescensの色素産生にはKing B培地が薦められます。

(公立玉名中央病院・永田 邦昭)


【質問者からのお礼】
 ご回答ありがとうございました。また, ご指摘いただいたスペルの誤りについては, 以後十分気をつけます。また, King培地 (A培地, B培地)) にて, 色素確認を実施してみます。ありがとうございました。


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