09/06/09
Fusarium oxysporumの選択培地
【質問】
 こんにちは。農業改良普及指導員として勤務している●●と申します。職務でシュンギク萎凋病について農業者と対策を行っています。そこでシュンギク萎凋病の原因菌であるFusarium oxysporumの土壌中の菌密度調査を行っています。現在は県試験場から分けていただいた選択培地を用いています。おそらく駒田培地やその派生型培地だとは思うのですが・・・

 この機会にフザリウム選択培地の組成等, 享受願います。

【回答】
 まず, 回答者はフザリウム菌の専門家ではありません。そのため, 選択培地については一般的に知られている情報 (特に、外側の報告 2005年を参考) を元に回答します。

〔参考文献〕
外側正之: Fusarium属菌の実験法入門. 日本菌学会ニュースレター 平成17年 (2005) 4月: 7〜11, 2005

 フザリウム菌の選択培地には何種類か知られており, その中でも以下の3種類を紹介します。培地組成の詳細については各々の引用文献を参照ください。

1.「駒田培地」
駒田 旦: 野菜のフザリウム病菌,Fusarium oxysporumの土壌中における活性評価技術に関する研究. 東海近畿農業試験場研究報告 29: 132〜269, 1976.

2.「FG培地」
 F. graminearumの検出を目的に作成された培地。F. graminearumの他に, F. avenaceumF. culmorum等の検出にも使える。

外側正之: Fusarium graminearum分離のための選択培地. 土と微生物 44: 77〜88, 1994.

外側正之: 赤色系Fusarium属菌による各種植物病害に関する研究. 静岡県農業試験場特別報告 第25号, pp 81, 2005.

3.「西村培地」
 既に販売が中止されたPCNB水和剤を使わずにF. oxysporumを選択的に分離することを目的に作成された培地。

 西村範夫: PCNBを用いないFusarium oxysporum用選択培地. 植物防疫 62: 164〜167, 2008.

 質問者は農業改良普及指導員とのこと。現場の試験場 (おそらく農業試験場) と密に連絡がとれる環境にあるかと思います。フザリウム菌の分離や対策といった点について農環研関係の方々が詳しく, いろいろな情報, 回答に列記した参考文献も入手し易いと思いますので, むしろ身近な試験場の方々に直接質問された方がより有益な情報を得られるのではないかと思います。

(テクノスルガ・ラボ 喜友名 朝彦) 

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