10/07/12
■ G群溶連菌による敗血症
【質問】
 いつも貴重なご教授ありがとうございます。田舎医者ですがいつも勉強になり感謝しています。

 G群溶連菌による敗血症の治療についてご教示お願いします。ABPCとアミノグリコシド併用療法でも解熱しません。現在は心内膜炎などの所見はありません。

【回答】
 G群溶連菌による敗血症で, ABPCとアミノグリコシド併用療法で解熱しないとのことですが, G群溶血菌は本来ペニシリン感受性の菌ですから病巣に有効な濃度の薬剤が到達していれば効果があるはずだと思います。原発病巣が気になります。心内膜炎などの所見はなかったとのことですが, どこかに小膿瘍を形成している可能性があるかもしれません。溶連菌は感染部位に微小病巣を形成し, 感受性のあるペニシリンを使用しても除菌できないことがあると言われています。膿瘍を形成すると血行が遮断され, 白血球などの細胞内に移行性の悪いペニシリンをはじめとするβ-ラクタム系の薬剤は病巣内に到達しにくくなります。血中濃度は上昇しても病巣内濃度が不足してしまうことになります。膿瘍形成菌には“クリンダマイシン”などの細胞内に移行性のよい薬剤の併用が勧められますが, 一部に耐性菌も存在します。薬剤感受性試験で感受性の有無を確認する必要があると思いますが,「サンフォード感染症治療ガイド」にはA群溶連菌の重症の侵襲性感染にはペニシリンに“クリンダマイシン”を併用する場合があると記載されていますので試してみる価値はあるかと思います。 

(公立玉名中央病院・永田 邦昭) 


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