■ ブドウ糖非発酵菌のアミノ酸脱炭酸試験 | |
【質問】
自分は●●大学の臨床検査技師の専門学校に通う■■という者ですが, “非発酵菌のアミノ酸脱炭酸試験”について疑問に思うところがあり, 質問をさせていただきました。 アミノ酸脱炭酸の検査ではメラー培地を用いて, その上にパラフィンを重層すると思うのですが, 非発酵菌の多くが偏性好気性の菌で発育することさえできないと思います。なのに何故, リジンやオルニチンの脱炭酸が陽性であるとか陰性であるといった結果が出せるのでしょうか??? 培地の組成が関係しているのかと思い, いろいろと調べてみましたが正確な答えはわかりませんでした。回答をよろしくお願いいたします。 【回答】
ちなみに, 緑膿菌のリジン脱炭酸 (参考文献1) については既に検討されてきており, Moeller 培地では必ずしも正確な判定ができない(2)ので, Falkow 培地の方が推奨されるという報告もありました。理由は, いずれも後になって明らかにされるのです。つまり, アルギニン/オルニチン等のアミノ酸存在下では, 無酸素状態である嫌気環境でも発育可能(3, 4)なことがきちんと証明されたのです。しかも, これらのアミノ酸と一緒に yeast extract の存在が重要であることなどです。確かに, Moeller 培地にはyeast extract ではなくて beef extract が含有されており, Falkow 培地にはyeast extract が含有されています。そして, アミノ酸代謝の分子レベルでの解析(5, 6)も行われています。 ちょうど, 硝酸塩や亜硝酸塩の存在下では, 緑膿菌は嫌気的条件下でも発育増殖可能なように, 要するに, アルギニン等のアミノ酸存在下では嫌気的環境でも発育してきちんと反応を観察することができるのです。詳細は下記の参考文献をご覧下さい。なお, ここでは緑膿菌についてのみ記載しましたが, すべての非発酵菌について明らかになっている訳ではないようです。現象としては理解されていても, その機構については意外に解明途上にあること, 沢山あるのですね。 〔参考文献〕
(2) Elston H R.: Lysine decarboxylase activity in broth and agar media. Appl. Microbiol. 22: 1091〜1095, 1971. (リジン脱炭酸反応の試験用培地としての適格性の評価/ グルコース非発酵菌には必ずしも適切でない) (3) Verhoogt H J.: arcD, the first gene of the arc operon for anaerobic arginine catabolism in Pseudomonas aeruginosa, encodes an arginine-ornithine exchanger. J. Bacteriol. 174: 1568〜1573, 1992. (arginine/ornithine 存在下で嫌気的発育) (4) Melanie J et al.: Identification of Pseudomonas aeruginosa genes involved in virulence and anaerobic growth. Infect. Immun. 74: 4237〜4245, 2006. (arginine 存在下で嫌気的発育) (5) Nakada Y et al.: Characterization and regulation of the gbuA gene, encoding guanidinobutyrase in the arginine dehydrogenase pathway of Pseudomonas aeruginosa PAO1. J. Bacteriol. 184: 3377〜3384, 2002. (分子レベルの解析) (6) Vander Wauven C et al.: Pseudomonas aeruginosa mutants affected in anaerobic growth on arginine: evidence for a four-gene cluster encoding the arginine deiminase pathway. J. Bacteriol.160: 928〜934, 1984. (分子レベルの解析) (信州大学・川上 由行)
【質問者からのお礼】
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