07/08/09
■ グラム陽性の大腸菌???
【質問】
 ●●市立病院の小児科研修医です。

 尿をカテーテルにて採取し, グラム染色をしたところ“グラム陽性球菌”が検出されました。(その結果から) 前日まで“グラム陰性桿菌”を狙って投与していた抗生剤, CTXをABPCに変更しましたが, なかなか熱が下がらず, 後日, 尿培養の結果がきてみるとE. coli (大腸菌) が10の5乗以上の成績でした。グラム染色の有効性とはいかがなものなのでしょうか??? お忙しいところ申し訳ございませんが, よろしくお願いいたします。

【回答】
“検体の取り間違えはない”という前提で回答します。

 グラム染色では“グラム陽性球菌”が観察され, 同じ検体を培養したら大腸菌が10^5個/ml以上検出されたということのようですが・・・“グラム染色の間違い”としか考えようがありません。誰がグラム染色を行い, だれが顕微鏡で観察したのでしょうか??? もし検査室で臨床検査技師がすべてを担当したということでしたら, 結果の矛盾を指摘してください。もし, 貴方が染色, 検鏡し, 培養と同定は検査室が担当したのなら, 検査室を訪れ, 分離された菌株をもらって自分でもう一度その菌株を染色, 検鏡してください。同じ検鏡像が見えるか否かを確認してください。

 遠心しない尿検体を1滴, スライド・グラスに載せ, そのまま自然乾燥 (塗り広げない) させてグラム染色し, ×1,000倍で検鏡し, 1視野中に平均1個以上の細菌が観察されたものを10^5 colony forming units (CFU)/ml以上の有意の細菌尿と診断した場合, その感度は91.8%, 特異度は96.2%に達するという成績があります。尿検体のグラム染色は大変診断能の高い検査であると結論されています。

(琉球大学・山根 誠久)


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