08/08/25
■ グラム陽性球菌の略記
【質問】
 大学病院の細菌検査で働く検査技師です。

 教えていただきたいのですが, グラム染色の結果を臨床に返す場合, 略称の表示をグラム陽性球菌の場合は“GPC”とよく表現してありますが, 現在本院では“G(+)Co”として結果を返却しています。どちらが一般的なのでしょうか??/ 教えてください。よろしくお願いします。

【回答】
 言葉は異なるヒト同士のコミニュケーションの道具ですから、院内できちんと“定義”されていれば, ポリシーとしては, どのような表記でも許されると思います。一般には, グラム陽性球菌は英語で“gram-positive cocci”ですから, その頭文字をとって“GPC”と略されているだけです。ただ, 私は略語が好ましいとは考えていません。理由のひとつは, コンピュータの普及で, 入力にあたっては略語 (あるいはコード) を入れたとしても, 出力では“グラム陽性球菌”とフル・ネイムで表示あるいは印刷することが簡単にできること。もうひとつは, 同じグラム陽性球菌でも, gram-positive cocci in pairとか, gram-positive cocci in chain, gram-positive cocci in clusters, gram-positive coccobacilliなど, 様々な所見 (菌体の形, 菌体の列びなど) を付記した表現が望ましいと考えるからです (この辺りはコンピュータの普及が, 逆に画一的な表示を強いているのかもしれません)。

(琉球大学・山根 誠久)


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