09/11/04, 10
■ グラム染色での細胞成分の報告
【質問】
 細菌の分類にグラム染色が使われていますが, 喀痰や腹水, 胸水などのグラム染色での細胞「WBCとSEC (扁平上皮細胞)」の報告についてお尋ねします。

(1) WBCについて
 炎症のある材料をグラム染色するとほとんどが好中球ですが, 結核菌などではマクロファージも見られます。胸水ではリンパ球 (???) など判定不能な細胞もみられます。グラム染色でのWBCは好中球のみを記載したほうがよいですか??? それともリンパ球, 単球やマクロファージなどもWBCとして記載したほうがよいでしょうか??? 血液学のWBCではすべて含まれると思いますが・・・

(2) 扁平上皮細胞について
 組織の表層の扁平上皮細胞のみを記載したほうがよいですか??? それとも組織の中層や深層では扁平上皮細胞なのかそれ以外の細胞なのかが分かりにくい細胞もありますが・・・扁平上皮細胞以外も含めて報告したほうがよいですか。

 私個人としては, ギムザ染色やパパニコロ染色ではないので, グラム染色の分類に限界がありますので, WBCは好中球以外も含めたほうがよいと思っています。SECは扁平上皮細胞以外の上皮細胞も含めたいと思いますが・・・臨床の先生方はどのように (報告書を) 見られているのでしょうか??? 御教示をお願い致します。

【回答】
 ご承知のように, グラム染色で白血球を報告する目的は, 好中球から炎症の存在を推測する喀痰の品質を評価するということです。Gecklerの分類も白血球すべてではなく好中球を対象としています。そのような考え方にたてば, 好中球を記載するのがよいと思います。

 上皮細胞についても, グラム染色で最も注目しているのは, 喀痰の扁平上皮細胞です。他の同定しにくい細胞については, 必要な場合は細胞診も提出していますので, グラム染色のコメントに含める必要はありません。

(虎の門病院・米山 彰子)


【質問者からのお礼】
 ご指導ありがとうございました。今後とも宜しくお願い致します。


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