08/03/10,12
■ 肺結核疑いの患者の隔離
【質問】
 結核病棟を有する公的病院に勤務する内科医です。

 先日, 結核病棟のないA病院に入院している患者様の喀痰塗抹で GF (ガフキー) 1号であったとの連絡を受けました。A病院では個室で隔離扱いにしていました (N95マスクも喀痰の結果が出てからスタッフが使用)。従って,「喀痰の結核菌のDNA (PCR) 検査を提出し, もし陽性なら当院に搬送しますので, さしあたりA病院での隔離継続でお願いします」と答えさせていただきました (非結核性抗酸菌の場合もあるため)。ところが保健所より, “結核擬似患者の隔離は法律が改正されて一般病院ではできなくなった”ので, 結核と判明していなくても結核病棟のある病院に搬送しなければならなくなったから, すぐ当院に入院させるように連絡がありました。肺結核疑い患者の隔離は一般病棟ではできないように法律改正されたのでしょうか??? ご教示下さい。

【回答】
 ご承知のように, “疑似症患者”も直ちに届け出るべき対象ですが,「集団発生の状況, 疫学的関連性なども考慮し, 症状や所見から, 結核の疑似症患者と診断するに足る“高度の蓋然性”が認められる場合」とされています。今回の患者は, 「結核の可能性は否定しきれないものの, 疑似症とは診断しない」と主治医が判断し得る事例と思われます。また, 個室隔離され, 職員も適切な感染予防策をとっていることから, 周囲へのまん延の恐れは低く, PCRの結果を待たずに敢て指定医療機関への入院勧告を行う必要はないともいえます。

 保健所の指示は, このようなA病院および質問者の先生の判断を十分理解せずに出されたものではないでしょうか。

(虎の門病院・米山 彰子)


【質問者からのお礼】
 この度はご多忙にも拘わらず, 小生の質問にお答えいただき, 大変感謝申し上げます。今後の診療の一助にさせていただきます。本当にありがとうございました。


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