07/01/17
■ HBs抗体価の表示
【質問】
 HBs抗体検査にはCLIA法, 凝集法などありますが, その相関について教えてください。例えば, CLIA法での判定基準である抗体価 10mIU/mlは, 凝集法でどれくらいの数値になるのでしょうか??? また逆に, 凝集法での判定基準である16倍は, CLIA法ではどのくらいの数値になるのでしょうか。

【回答】
 すべての方法で正の相関関係 (高い抗体価は高く, 低い抗体価は低い) が認められます (PHA法 対 RIA, EIA, CLIA, ICA法)。ただ, CLIA法で抗体価 10 mIU/mlは凝集法 (PHA法) ではすべて「陰性」になると思われます。また, 凝集法の判定基準による最少検出感度はそれぞれの検査試薬の製品によって異なります。WHO 標準品 (Lot 26.1.77 抗体価 1000 mIU/ml)の段階希釈系列を作り, 最少検出感度比較をした結果:
 

標準品濃度
ICA法
凝集法
凝集法
凝集法
凝集法
凝集法
EIA法
RIA法
mIU/ml
A社
B社
C社
D社
E社
F社
A社
A社
1,000
+
+
+
+
+
+
+
+
500
+
+
+
+
+
+
+
+
250
+
+
+
+
+
+
+
+
125
+
+
+
+
+
+
+
+
62.5
+
+
+
+
+
+
31.3
+
+
+
+
+
15.6
+
+
+
7.8
+
+
3.9
+
+
2.0
±
1.0
0.5

(注) ICA法は標準法 (15分間反応) の結果
  各試薬共に1ロット2重測定 (判定の乖離例なし) の結果

 この表からも, 各社製品, ロットにより最少検出感度は違っています。現在使用中の製品に関しては製造元へお問い合わせください。

・判定基準値 (陽性・陰性の判定区分値) と最少検出感度
 製品によっては判定基準値と最少検出感度が違う場合があります。例えば, CLIA法の判定基準値は 10 mIU/ml ですが, 最少検出感度は約5 mIU/mlです。判定基準 10 mIU/mlは「CDC 2001年, 職業的暴露時のガイドライン」の「HBV暴露に対する暴露後予防に関する推奨」に記載されています〔HBs抗体反応あり (Responder): HBs抗体が充分量 (10 mIU/ml以上)ある〕に準拠準しています。すなわち, CDCが推奨しているHBV暴露後の処置の有無を判断する基準値のことです。ただ, 日本におけるHBV暴露後の処置の判断基準値は施設によって違っています。凝集法を採用している施設では, 凝集法の判定基準 (陰性/陽性) が判断基準値になります。EIA法やCLIA法を採用していても, 凝集法での判定基準値に準拠している施設では40〜100 mIU/mlを判断基準値にしていることになりますが, 日本においてもCDCの判断基準値 10 mIU/mlを導入している施設が徐々に増えています。

(アボットジャパン・中島 俊彦)


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