09/07/10
Helicobacter pylori の培養環境
【質問】
 はじめまして。こんにちは。ホームページを拝見し, 是非ご教授頂きたくメールいたしました。

 今回 H. pyloriの培養を行うことになりました。研究室をみたところ, 以下の装置などがあります。嫌気状態 (33〜40℃ 酸素5〜10%) での培養方法です。

・CO2インキュベーター
・普通の温度設定のみのインキュベーター
・ガスパック嫌気システム (嫌気にするジャー)
・ガスパック水素/炭酸ガス発生袋 (ジャーに入れて酸素と二酸化炭素を管理し, ジャーを嫌気状態にするもの)

 以上の4つの装置と道具がございます。

 そこで質問なのですが, 嫌気ジャーとガス発生袋で嫌気状態にしたものを普通のインキュベーターで培養しても大丈夫なのでしょうか??? それとも, ジャーなどで嫌気状態にしたものを, さらにCO2インキュベーターで培養したほうがいいのでしょうか???

 何卒, ご教授くださいますよう宜しくお願いいたします。また, H. pyloriの培養を行う上でなにかご注意などありましたらお教えください 重ねて宜しくお願いいたします。

【回答】
 質問で使われている言葉に疑問があります。H. pyloriの培養は微好気 (microaerobic) 環境で行い, 嫌気培養ではありません。(1) 5〜7%の酸素(2)5〜10%の炭酸ガスCO2、そして(3)充分な湿気の3つが必要となります。培養環境の酸素、炭酸ガス、湿気を正確に管理する必要があるということは、培養環境は密封されるということになります。ガスパックには目的とする菌種、目的とするガス環境で様々なものがあります。嫌気ジャーを陰圧にして、これに嫌気ガスを充填する方法、回答者の施設ではティッシュに水を含ませ、ガス組成の調整にはアネロパウチ・微好気 (三菱ガス化学) を用いています。

(琉球大学・山根 誠久)

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