07/12/27
07/12/28 12/30
■ 保温状態でデソキシコレート寒天培地が増える!!??
【質問】
 はじめて質問させていただきます。私は, カット野菜の工場で品質管理をしている者です。

 その中で細菌検査をしているのですが, デソキシコレート寒天培地を作成する時に, 最後に恒温水槽で温度を一定に保つ際, 時間が経過すると, 三角フラスコ内の培地が増えてしまう現象がたびたび起こります。シリコン栓の劣化が原因と思い, 新しく交換したのですが, 同じ現象が起こってしまいます。何か良い解決策はありますでしょうか???

 お忙しいとは思いますが、宜しくお願いいたします。

【回答】
 大変難しい質問です。デソキシコレート寒天培地だけで起こる現象のか??? 増量ということですが, どれくらいの量なのでしょうか??? 質問者の作業の詳細が分からない???

 私自身, このような現象の経験がありませんし, 関係者にも確認しましたがそのような経験はないということでした。恒温装置の影響があるのかもしれませんが, 質問者の作業の詳細が分かりませんので何ともいえません。例えば, 液量が増えることの可能性として:

・・・100ml の水に培地粉末を入れると100 mlではなく, 液量が増えます。あるいは, 恒温水槽などの条件により, シリコン栓を通過して水蒸気がフラスコ内に移動し, その後フラスコの内壁で冷やされて結露した水が培地の増量として観察された・・・

(日水製薬・三品 正俊)

【ホームページ担当者より】
 この質問に関しては, 広く読者からの意見, 回答を求めたいと思います。

【質問者からのお礼】
 デソキシコレート寒天培地を作成する際に培地の液量が一定時間経つと増えてしまうということで質問させていただいたカット野菜の工場で品質管理をしている者です。回答拝見いたしました。ありがとうございました。例を見ないということで驚きました。

 液量の増え方なのですが, フラスコ内の水蒸気が水になり, 培地内に溜まった量としては考えがたい量でした。例えば, 100 mlの培地を作成した場合, 時によっては培地を恒温水槽に移し, 30分間ほどで200 mlに増えてしまったりということもありました。当時, 弊社のほうで品質管理を担当していた人にも聞いてみたのですが, 回答は同じでした。現在の対応は, 三角フラスコをデュラム瓶に変更して培地を作成しています。今のところ, 液量が増えてしまうという現象は起こっていません。貴重な時間を割いていただき, 誠にありがとうございました。

【読者からの意見】
 「保温状態でデソキシコレート寒天培地が増える!!??」を読みました。実際に3社のDESOXYCHOLATE寒天培地を300 mlのフラスコで200 ml作製して, オートクレーブ内で100℃, 20分間加温溶解して状態を観察しました。加温溶解後、1〜2 mmの水位上昇 (液体の膨張による) がありましたが, 50℃で1時間保温後には元の水位まで下がりました。保温中に培地量が増えるのは, シリコンに含まれている水分が冷却され, フラスコ内へ移動するためだと考えられます。また, 質問者がこのような現象を観察すると言うことは, おそらくフラスコの容量いっぱいに (例: 300 mlのフラスコで300 mlの培地) 培地を作製していると推察します。培地作製にあたっては, 必ず大きめのフラスコ (培地 100 mlであるなら200 mlのフラスコ) を使うようにしてください。シリコン栓を使う時には, その上から硫酸紙やアルミホイルをかぶせ, 余分な水蒸気が入らないようにしてください。私はアルミホイル (3重に重ね) で加温溶解しています。


戻る